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王子のキスで、野良猫は真実の愛を知る⑤

 初めて聞く、甘えたような声。  それがあまりにも可愛くて、ついOKしてしまったけれど、その結果その日は夜通しはめられ続けた。  だから俺はそのことを、死ぬほど後悔する事になる。  神宮寺め......二度と泊まりでは、やらん! *** 「ねぇねぇ、山田くーん。  ホントお前、二位が好きだよな」  掲示板に貼り出された、校内陸上競技大会の成績上位者一覧。  結果は一位が神宮寺で、二位が俺。  ゴール地点に先に到達し、余裕な顔でゴールテープを持つ係を買って出たらしきヤツの満面の笑みを思い出し、地団駄を踏んだ。  ......つーか二位にその係、いらねぇだろ。  マジで性格、悪過ぎなんだよ! 「やっぱお前、めっちゃムカつくな。  ......次は、絶対勝つ!」  ビシッと指先を彼の眼前に突きつけての、勝利宣言。  それを聞き、神宮寺は一瞬キョトンとした感じで琥珀色の瞳を見開き、それから俺の事を背後から羽交い締めにして爆笑した。 「ん......期待してるよ。  山田、頑張ってね🖤」  チュッ、というリップ音を立て、頬に寄せられた唇。  俺らの関係はふたりだけの秘密だというのにコイツは時々こうやって外でも過剰なまでのコミュニケーションをはかってくるものだから、めちゃくちゃ動揺して彼の体を思いっきり突き飛ばした。 「うぁぁぁぁあ!  神宮寺のアホ、馬鹿、変態!  お前なんか......お前なんかやっぱり、大っ嫌いだ!」  ゴシゴシと手のひらで神宮寺の唇が触れた場所を拭い、涙目でギロリと睨み付けて絶叫してその場から逃げ出した。 「ホントアイツ、懲りないな。  すまん、神宮寺。  ......山田の相手、いつもお疲れさん」  呆れ口調で孝明が言い、生暖かい視線を俺に向けるのを背中で感じた。 【......fin】  

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