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第19話 濃いのがお好き(番外)
※注意
こちらはD/S関係ない、優と青桜の日常です。
ただのいちゃこらです。
特に際立ったR18もありません。
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「あっおー、青桜 っ、あーおー」
「ふふ…優 さんご機嫌ですね。
何か良い事ありました?」
「サイフォンが来たんだ」
『サイフォン?』
青桜の頭に???と浮かぶのが可愛い。
「コーヒーメーカーだよ」
「おおおーっ、これってオイルランプの!?
しっぶ!珈琲専門店で見るやつだ!!」
「そそ、青桜に美味しいコーヒーを淹れて
やりたくてね。
豆は渋みの少ないモカにしたんだ」
青桜も興味津々といった様に身を乗り出して見ている。
僕はどちらかと言うとこういったアナログな物が好きだ。出汁も自分でとりたいタイプ
逆に青桜は今時な若者。
時短や便利アイテムを探すのが上手い。
ともに共通するのはアイテム好きと言う所。
コーヒー豆の袋を開け中挽きになった豆の香りの良さに満足する。
「わっ、良い香りだ♪」
「ふふ、ミルクたっぷりのカフェオレ作って
あげるからね」
青桜の笑顔に僕は更に気分が良くなる。
効果音が見えるならまさしく『るんるん』でサイフォンを箱から出している。
ん?
横から様子を見ていた青桜が僕の袖を遠慮がちに引いた
「どうかした?」
「あの…オレもブラックが良い」
「でも、青桜コーヒー苦手だよね?」
「うん、でもこのコーヒー豆良い香りだし、
牛乳入れるの勿体ないよ。
苦くないならオレも優さんと同じブラックが
良い」
「分かったよ…」
可愛すぎて屈んで見ていた青桜の頬にチューしてしまう。
お前、又背が伸びたね。
聞いたら絶対「伸びてない!」って言い張るんだろうけど…
青桜は瞼を閉じて甘んじて受けるものだからつい瞼やおでこにも口付けしてしまう。
ベロチューしたくなる前に青桜から離れてサイフォンを洗う。
さてと───
「少し薄めにいれようか。
飲めなかったら僕が飲んであげるから」
相変わらず隣で見ていた青桜の瞳がキラキラと…喜んでるね。
この笑顔に僕はどこまでも弱い。
「あ、青桜淹れてみる?お水は入れちゃったから少し豆の方を減らせばアメリカンになるから」
「アメリカン?」
「薄めのコーヒーの事だよ。アメリカンと
言っても日本でしか通用しないけどね」
コーヒーをわざわざ薄めて飲むなんて正直邪道だと思うけど、お年寄りがアメリカンを頼むのは時々見る光景だ。
ブラック初心者の青桜が少しでも美味しいと感じられるなら邪道だろうが荊道だろうが僕には関係ない。
「いつもは青桜にカフェオレを作るから
このメジャーに大盛り2杯にしてるけど
ブラックなら少し薄めにでも良いから軽く
2杯入れて」
「うん!」
と意気揚々コーヒー豆の袋とコーヒースプーンを握る青桜を横目に僕はコーヒーシュガーとミルクを用意しダイニングに運んでおく。
「ランプに火、点 けちゃってもいい?」
青桜は火起こし男子なのかな?
オイルランプに点火したくてウズウズしているのが伝わってくる。
「いいよ」
キッチンカウンター越しに返すと「やた!」と喜ぶ声が聞こえる。
そう言えば、マネージャーに冬限定のホワイトチョコを貰ったっけ…こんなの大量買いするから太るのに…僕はあまり食べないけど青桜が限定ものが好きだから貰ったんだ。
キッチンに戻ると青桜が椅子を持って来てサイフォンをガン見していたから吹いた。
僕はサイフォンをキッチンからダイニングに移す。
2人でサイフォンを囲む。
僕は台本を読みながら、青桜は飽きもせずじっと見つめている。
ポコポコと小気味良い音が鳴り始める。
この音が好きだ。
青桜の「おぉう!」という声に顔を上げると
キラキラした瞳がサイフォンを見つめていた。
僕は立ち上がると青桜の肩を抱きキスをする
「コーヒーカップを持ってくるよ」
「オレも手伝う」
「良いから見といで」
「はい」
青桜は又キラキラした目をサイフォンに戻す。
この姿を見るだけで、このサイフォンを買って良かったと思える。
マグを取り掛けて、コーヒーカップにする。
カフェオレじゃないし、青桜が大人の階段を登るんだ。
良いカップを使おう。
「優さん、コーヒー出来たみたい!」
「オイルランプをキャップで火を消して」
本体を引けば火傷しないから──
「あちっ」
と言い終えないうちに青桜の声
「大丈夫かっ?」
「うん、そっか…ランプじゃなくて本体の方を
ズラせば良かったのか…」
僕が本体の取手を持ち上げランプの蓋をすると青桜が感嘆した声をあげる。
「大丈夫?」
「ちょっとフラスコの方に指があたっちゃった
だけだから」
「冷やそう!」
僕は青桜をキッチンまで引きづり流水に青桜の手を漬ける
「痛くない?」
「ぇと…逆の手、です」
「「……」」
ザーッと流水音
「ぷぷぷ」
「優さん?」
僕の方が恥ずかしいのに青桜は耳をぺたんと倒してる大型犬の様な表情をしていた。
青桜の手をそっとタオルで包み赤みを確認する。
うん、大丈夫そうだね
「コーヒー飲もうか」
「うん!」
「ぅっわー、キレイな色だね!」
「色はどれも一緒だよ」
「そんな事ないですぅー
このコーヒーは特別キレイなんですぅ」
「まぁ、そうだね。青桜が初めて淹れた
コーヒーだもんね」
「あ、そうだった!」
忘れとんのかいっ(ペチッ)とツッコミを入れたくなるのを我慢する。
だって青桜のわくわく感が倍増したのがわかるから。
コポコポとカップにコーヒーを注ぎ、
青桜の前に置いてやる。
自分の分も注ぎ、お茶請けにミルクチョコも出してやる。
キラキラした目が可愛い。まるで大好きなオヤツを前に『マテ』をしている大型犬だ。
またこの間のD/Sプレイをしたいなぁなーんて煩悩が頭を掠めるが、今は封印。
「どうしたの?飲んで良いよ」
「なんか、大人の階段登る感じ!」
「ふふ…青桜ちゃんに飲めるかな?」
「飲めるか飲めないかではない!
飲むのだよ!!」
青桜は意を決してクピッと飲む。
僕はそれを見守る。
おや?眉間に皺があった青桜の表情が驚きに変わった
「飲める。てか、美味しい…」
「おーっ」
パチパチと僕は手を叩く
「こちらの世界にようこそ」
身を乗り出して青桜に口付ける。
青桜の口からモカの芳醇な香りが移る。
これは…新鮮。いいな、コレ。
青桜はチョコを口に含み又コーヒーを飲む。
気に入った様だ。
青桜にワンコのしっぽが見える気さえする。
僕も一口飲む。
…なるほど。
コレが青桜のお気に入りか…。
「美味しいよね♪」
「ああ…そうだね」
「オレ、これからは朝ブラックにする!」
「カフェオレじゃなくて良いの?」
「大人の階段を登ったオレに牛乳は必要ない
のだ!」
ドヤ顔の青桜が可愛い…。
「カフェオレ、可愛いのに?」
青桜の眉間に皺がより、情けない顔になり
泣きそうな顔に変わる。
「ウソウソ、コーヒーをブラックで飲む青桜もカッコ可愛いよ」
青桜は僕に可愛いと言われるのが大好きだ。
そもそも猫舌の青桜がちびちびとカフェオレを飲む姿は可愛かった。
今のコーヒーは先の火傷騒ぎで少しぬるくなっていたので青桜には丁度良かったのだろう。
「ほら、そんな顔しない。
カッコいいがプラスされた青桜は最強だね。
益々大好きになっちゃうよ」
「ホントに?」
「カフェオレと交互にしようか?
僕もたまにはカフェオレも飲みたいし」
「わっ!優さん大好き♡」
僕は青桜にはとことん甘い。
だけど、コーヒーも限りなく拘るタイプなんだよ…。
笑顔で青桜と話つつ、今後このコーヒーを青桜に気付かれる事無く徐々に濃くする計画を脳内でたてる。
目の前のドヤ顔が可愛い青年の為に、暫くはこれでも良いかと思ってしまう自分に苦笑しながら色が付いただけのコーヒーにゆっくり口をつけるのだった。
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■ 後 記 ■
ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
今、誤字脱字修正と少し加筆を行なっておりますが優と青桜のいちゃこらはここで完結です。
なんか、ホントベッタリ甘々カップルを書きたくて書き始めたこのお話でしたが、途中性癖満載で申し訳ありませんでしたw
とにかく攻がめちゃ甘でベタ惚れなカップルにしたくてw
Dom/Subユニバースにご興味頂けた方がいらっしゃいましたら、別のお話も書いております。
そちら亀の足並みの速度でお話自体も進んでおりますが、よろしければお付き合い下さい(^^)
足を止めて頂いた皆様にSMともオメガバースともちょっと違うD/Sユニバースを好きになって頂ければ幸いです(*n´ω`n*)♡
まぁ、こちらは『ごっこ』でしたが、
本来はオメガバースのΩ並にSubも虐げられたりしております。
孕まないのが残念ですが、中には独自設定のモノもあったり振り幅広いのがD/Sユニバースの良いところではないかと思っております♪
では、またよろしくお願いします✧*。ヾ(≧▽≦)ノ゙✧*。
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