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第1話(2)
「……?」
いったい誰だろう?
掃除機の電源を切り、玄関に向かってドアに付いているのぞき穴から外の様子を窺 えば……。
大学生くらいだろうか。
背の高い、金髪の男の人が立っていた。
顔は、とてもカッコいい。
つり目だが、大きめな目と弧を描いた唇のおかげもあってか、人懐っこいような雰囲気をしている。
だけど見慣れない人だ。
「はい。どちら様ですか?」
俺はドアノブを回し、解放すると、男の人は頭上の部屋番号が書いてあるナンバープレートと俺を交互に見つめて、何度も瞬 きを繰り返していた。
どうしたんだろう?
「あの……?」
俺が口を開けると、男の人も口を開いた。
「ここって……葉桜 さんのお宅、ですよね」
そう言った男の人の声質は、どこか甘い雰囲気がある。
「はい。そうですよ?」
あっ、もしかして華道の関係者か何かだろうか?
コクンと頷けば、男の人は安心したのか笑顔を見せた。
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