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第1話(23)
言わないでよ、そんなこと!!
もう今が昼間だとか、どうだっていい。
月夜しか感じられない。
「月夜、月夜、月夜っ! ああっ!!」
月夜に組み敷かれ、抱かれてさんざん泣かされたその後。
月夜は俺を抱きしめながら、矢車 隼翔さんとの関係について話してくれた。
「隼翔も華道家の跡取り息子なんだよ。俺とは幼なじみでね」
苦虫でも噛むようにそう言った月夜の顔は、とても不服そうだ。
「同じ華道家で、異なる流派ということもあって、昔から顔を合わせれば、言われて言い返しての犬猿の仲なんだよ。
亜瑠兎が彼と仲良くしていることが気にくわなかった」
別に……仲良くしてるわけじゃなかったのに……。
月夜ってなんかそういうとこ、ちゃんと見てないよね。
嫉妬してくれて嬉しいけど……。
だって、嫉妬してくれるっていうことは、月夜はまだ俺に感心があるっていうことだから……。
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