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第2話(1)

 ◆無自覚王子様  月夜(つきや)が俺との恋愛のことで嘉門(かもん)さんに談判した後、花音(かのん)の皮をかぶった俺は一度元居た学校に返され、亜瑠兎(あると)として月夜がいる学校に再編入させてくれた。  嘉門さんは相変わらず無愛想で怖いけれど、それでもそういった二度手間、いや、三度手間になるようなことをしてくれるのは、少しは月夜と俺との仲を認めてくれているからだろうか。  対する月夜のお母さんの早苗(さなえ)さんは、相変わらずニコニコ微笑んで俺を迎えてくれる。 『早くお嫁さんに来てくれないかしら』などと、いつも言ってくれるわけだが、俺としては月夜の、『嫁』になるつもりは毛頭ない。  というか、俺は嫁なんて立場はイヤだ。  たしかに、月夜に抱かれているのは事実としても、それでも俺は男でけっして『嫁』じゃない。  俺だって夫がいい!!  月夜と同じ位置に立ちたいんだ。

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