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第2話(2)

 ……っていうふうに、早苗さんに言えたらいいんだが、俺はどうもほんわかと笑う早苗さんに食らいつけない。  なんか毒気を抜かれるっていうか……。  早苗さんに同調してしまうっていうか……。  早苗さんって、もしかしたら葉桜家の中で一番権力があるんじゃないかな。  ほんとにそう思う。  ――俺が男として学校に通うようになってからは、藤堂 御影(とうどう みかげ)は、やっぱり(にら)んでくるものの、今のところ何か仕掛けてくる様子はない。  彼女が俺に何も言ってこないのは、どうせ弊害(へいがい)だらけの男同士の恋愛なんて長続きはしないだろうと踏んでの事かもしれない。  ……そうだな。  俺も、そう思うよ。  所詮、月夜にとって俺は邪魔者以外の何物でもないんだから……。  そう考えると、俺の胸は張り裂けそうに痛む。  こんな苦しい想いをしているのは、きっと俺だけ。

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