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第6話(2)
恥ずかしいが、これも俺の務めだ。やるしかない。
悶々と考えた末に、やっぱり決意した頃――。
「亜瑠兎、ただいま。遅くなってごめんね」
ちょうど月夜が仕事から帰ってきた。
時刻は20時を過ぎている。
月夜は今日も、朝からみっちり仕事だった。
「月夜、おかえりなさい」
癒やし。
癒やし。
俺は呪文のように心の中でそう称えながら玄関に急ぐ。
月夜の顔を見るなり、俺は月夜の胸にダイブした。
まあ、恥ずかしいから、目はギュッとつむったままだけどな。
「うわっ! 亜瑠兎? どうしたの?」
くっそう、これ、メチャクチャ恥ずかしいぞ?
だけど、ここまできたらやるしかない!
俺は月夜の胸に頬ずりする。
「亜瑠兎?」
背伸びをして、困惑気味の月夜の薄い唇をそのまま奪った。
舌を忍び込ませれば、月夜もそれに応えてくれる。
「っふ、んぅ……」
ネクタイを外し、月夜がこれ以上疲れないようにと、ひとつ目のボタンを取り除く。
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