2 / 9
第2話
熟れた蕾が、ヌチャヌチャとはしたない音を立てる。
俺の欲望が出たり入ったりするたびに、細長い身体が小刻みに痙攣し、引き締まった腹筋の上に、粘ついた雫がとろりと落ちた。
まとめて縛り上げた手首が、タオルの下で軋んでいる。
ぷくりと丸みを帯びた胸の頂きに唇を添えると、脇腹が盛り上がり、鼻から漏れ出る空気に甘みが混じった。
ぎゅうっ……と合わさった目蓋の隙間から、生まれたての涙が湧き出てくる。
やがてアーモンド・アイがその形を取り戻すと、いっぱいに溜まった透明な泉が、瞳に閉じ込められた俺の輪郭を曖昧にした。
ああ。
だめだ。
何度見ても、目が眩む。
愛する人の乱れる姿は、なにしろ心臓に悪い。
逸る鼓動に翻弄される身体と、裏腹に、満たされていく心。
だけど今夜は、なんだか物足りない。
「理人さん」
「……」
「理人……」
「……っ」
耳の中に直接名前を囁き入れると、内壁が蠢き、俺を切なく締め付けてきた。
もっと奥へと導こうとするかのように、優しい強引さで包み込んでくる。
身体はこれ以上にないくらいの悦びを表現しているというのに、理人さんは沈黙したままだ。
「理人さん」
「……」
「気持ちよくない?」
「……」
「なんで、声出してくれないんですか」
「なんでって……あ!」
くっついていた唇が離れた隙を狙い、最奥を突き上げる。
白い首筋が露わになり、反り返っていたそれがビクンと震えた。
きっと、極悪人のような顔で見下ろしていたんだろう。
我を取り戻した理人さんのへの字口が、わなわなと震える。
潤んだアーモンド・アイが、親の仇を睨むように視線で俺を射抜いた。
「今すぐそのカメラを止めろ、このやろう!」
あ、やっぱり?
ともだちにシェアしよう!