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第2話

 熟れた蕾が、ヌチャヌチャとはしたない音を立てる。  俺の欲望が出たり入ったりするたびに、細長い身体が小刻みに痙攣し、引き締まった腹筋の上に、粘ついた雫がとろりと落ちた。  まとめて縛り上げた手首が、タオルの下で軋んでいる。  ぷくりと丸みを帯びた胸の頂きに唇を添えると、脇腹が盛り上がり、鼻から漏れ出る空気に甘みが混じった。  ぎゅうっ……と合わさった目蓋の隙間から、生まれたての涙が湧き出てくる。  やがてアーモンド・アイがその形を取り戻すと、いっぱいに溜まった透明な泉が、瞳に閉じ込められた俺の輪郭を曖昧にした。  ああ。  だめだ。  何度見ても、目が眩む。  愛する人の乱れる姿は、なにしろ心臓に悪い。  逸る鼓動に翻弄される身体と、裏腹に、満たされていく心。  だけど今夜は、なんだか物足りない。 「理人さん」 「……」 「理人……」 「……っ」  耳の中に直接名前を囁き入れると、内壁が蠢き、俺を切なく締め付けてきた。  もっと奥へと導こうとするかのように、優しい強引さで包み込んでくる。  身体はこれ以上にないくらいの悦びを表現しているというのに、理人さんは沈黙したままだ。 「理人さん」 「……」 「気持ちよくない?」 「……」 「なんで、声出してくれないんですか」 「なんでって……あ!」  くっついていた唇が離れた隙を狙い、最奥を突き上げる。  白い首筋が露わになり、反り返っていたそれがビクンと震えた。  きっと、極悪人のような顔で見下ろしていたんだろう。  我を取り戻した理人さんのへの字口が、わなわなと震える。  潤んだアーモンド・アイが、親の仇を睨むように視線で俺を射抜いた。 「今すぐそのカメラを止めろ、このやろう!」  あ、やっぱり?

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