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第3話

 というわけで、ハメ撮り中でーす。 「なにが『というわけで』だ!」 「あれ、声に出てました?」  白々しく驚いてみせながら視線をずらすと、うっかり繋がったままのそこが目に入ってしまった。  赤く熟した肉環が、限界まで膨らんだ俺をみっちりと咥え込んでいる。  理人さんの呼吸と同じリズムで収縮を繰り返し、絶妙な緩急をつけながら淡い刺激を与えてくる。  自ずと、喉がゴクリと鳴った。  思わず落っことしそうになったスマホを握り直し、画面の中心に再び理人さんを映し出す。  そっぽを向いたままの顔を捉え、徐々に焦点を南下させていく……と、肝心のそこにピントが合う前に、理人さんが膝を閉じてしまった。 「はあ……もう、理人さん、カメラ意識しすぎ。それより、こっちに集中してくださいよ」 「……ッ」  奥まで達していたそれをずるずると引き出し、理人さんの〝いいところ〟を先端で弄ぶ。  理人さんは喉の奥から呻き、でも歯を食いしばって続きを堪えた。 「声、録音されるの、そんなに嫌ですか?」  当たり前だろ!  ……って言ってるんだろうな、この顔は。  さっきので学習したのか、理人さんは口を開こうともしない。  相変わらず頑固でかわいい恋人の額に、自分の額を合わせる。 「往生際悪いですよ。賭けに負けたの、理人さんでしょ」  理人さんの視線があちこちへと泳ぎ、薄い唇が勾配の急な『へ』を描いた。

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