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第8話(トム)
「何が食べたい?君ぐらい若ければ肉料理かな?ステーキ?」
迎えの車にカイトと乗り込み、ディナー先を考える。
「肉はあんまり好きじゃない」
心が読め無い会話は新鮮だ。
「ベジタリアン?」
「違うけど、こっちに来て肉料理ばっかり食べてるから嫌いになった」
「じゃあ今日は海鮮料理はどう?美味いLobsterの店がある」
「じゃあそれで」
「okokじゃあ、ウィル!Lobster Clubへ頼む!」
運転手のウィルに行き先を伝える。
「はい、ボス」
ウィルは、僕がビジネスをスタートした時からの仲だ。真面目でユーモアのあるウィルの事を気に入っている。
ちなみに今日の車は日本車だ。
新型センチュリーV8ハイブリッド神威は、仕事用として良く使っている。
やっぱり日本車はいいね。
作りも丁寧でコストパフォーマンスがいい。
「緊張してる?」
カイトはさっきから無口だ。
「別に。日本語、話してればいいんだろ?飯食ったらすぐ帰る」
僕の周りには金に群がる魑魅魍魎ばかりだ。
媚びない人間は新鮮だ。
「君は、何というか、、、」
「口が悪い?」
「いや、素直な子だね」
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