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第22話(スティーブ)

ホテルの最上階にあるパーティー会場。 スティーブは黒のフォーマルスーツに身を包み中へ潜入した。 ターゲットのナディール議員を探す。 エージェント•ベルから通信が入る。 「ターゲットは東側のバーカウンターだ。ボディーガードは2人。議員のすぐ右隣に1人。後方3メートル3時の方向にいるのも議員のボディガードだ」 「了解」 スティーブは深呼吸すると議員の居るバーカウンターへ向かった。 「さて、任務開始だ」 スティーブはナディール議員の対角のバーカウンターへ腰を下ろした。 「お飲み物はいかがいたしますか?」 バーテンがすぐに声を掛けてきた。 「グランドスラムを。あと、彼女にも同じモノを」 カクテルのグランドスラムはスウェーデン生まれのリキュールであるスウェディッシュ・パンチ、ドライベルモット、スイートベルモットを合わせたカクテル。 ラムベースのスパイスの効いた大人の味わいだ。 カクテルには花言葉のように、カクテル言葉がある。 実はマイクから教えて貰った。 グランドスラムのカクテル言葉は「2人だけの秘密」。 ナディール議員は僕からのカクテルを受け取った。 にっこり微笑むとすぐに食いついて近寄ってくれた。 「お飲み物ありがとう」 「いえ、ナディール議員」 「私を知ってるの?」 「昼間の講演会へ出席していました。とても素晴らしかったです。お会い出来て光栄です」 「まあ、ありがとう」 「私はMCUテクノロジーのティム•マッケンジーです。良かったら一緒に飲みませんか?」  ナディール議員の腰へと手を添える。 「喜んで」

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