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第28話(トム)
「コーヴィン社長おはようございます」
「エレナおはよう」
会社に着くなりすぐに秘書のエレナに捕まった。
「今日は9:00本社会議と10:30からオンライン会議が2件、12:30にマッシブ社の役員とのビジネスランチ、午後は14:00に取締役会に出席した後、17:26にはプライベートジェットでシカゴへ飛びます」
「okok。で、エレナ、僕のウサギちゃんは無事届いたかな?」
「ええ、フジサキカイト氏への荷物は朝一配達完了の連絡が入りました」
「じゃあ、そろそろ連絡が来るかな」
きっとカイトはびっくりしただろう。
今朝、僕のプライベートな船上パーティーへの招待状を出した。
ドデカいウサギとバルーンを付けたサプライズだ!
ピピピピ
おお!ちょうどカイトだ!
「おはようカイト、僕からの招待状は受け取ってくれたかな?」
「コノカネモチバカ!」
ん?聞き取れない日本語だったが怒ってる?
「親父があんたとは二度と会うなって。今晩は家族会議だよ。なんて事してくれたんだよ」
「二度と会うなっ?!それは困る!!君のお父さんへ会いに行って説得しよう」
「事態がややこしくなるから来るな」
ツーツーツー
電話が切れた。
「エレナ、ウサギちゃん作戦は失敗だ。夜のシカゴ行きはキャンセル」
「社〜長〜。ウサギちゃん作戦、私は反対しましたよねぇ?」
「ハニーは賛成してくれた」
「あなたのハニーはAIですから、家にドデカイウサギが来た時の気持ちなんて分かりません」
「可愛いだろ?ウサギ」
「今日のシカゴ行きは絶対です。逃しません」
僕の秘書は有能過ぎるんだった。
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