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第45話(マイク)

普通じゃないのは最初から分かってた。 スティーブの正体を知った時。彼の生い立ちを聞いた時。 引き返すチャンスはいくつかあった。 でも出来なかった。 スティーブが男だとか、スーパーヒーローだとか、人造人間だとか、WIAのエージェントだとか、全てがどうでも良くなるぐらい、強烈に惹かれた。 はにかむような笑顔も、下がった目尻も、男らしい顔も全部。 俺はスティーブが欲しかった。 今更スティーブと別れられる? 「無理だ、、、」 この先、自分たちがどうなるのか分からないけど。 自分からスティーブと別れるなんて考えられない。 「考えるの、やめた」 今日は待ちに待った週末デート。 ディナーの予定だったけど、今日はドレスアップして船上パーティーへ連れて行ってくれるらしい。 3年振りにクローゼット最奥に眠っていたスーツを引っ張り出している。 今日の為に、シャツも下着も新調した。 フォーマルなスーツへ着替え終わると、約束の時間ピッタリにドアベルが鳴る。 スティーブだ。

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