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第56話(トム)

人生ここまでか。 僕はここで死ぬ。 月面コロニー計画も白紙だな。 最後に、出来ればカイトの顔を見ておきたかった。 死ぬ直前に、僕は彼に恋をしているんだと悟ってしまった。 若いからとか男の子だからとか言い訳は出来ない。 この気持ちはこのまま墓場まで持っていく。 死ぬ前にあの子と出会えただけで幸せ者だ。 そう思っていた時だった。 バリバリバリバリッ  激しい雷音が鳴り響く。 銃を構えこちらを狙っていた男が一撃で吹き飛ばされた。 音がした方へ振り返ると、ステージの傍にカイトが居た。 黒目が青白く発光し、カイトのサラサラした黒髪はまるで猫が毛を逆撫でしたように静電気で広がっている。 「カイト!?大丈夫か!?これは一体、、、」 カイトは暴走した。 バリバリ バリバリ 手を翳して電流を放出して手当たり次第に人をバタバタと倒して行く。 「や、やめろ!化け物!!う、うわあー!」 一際遠くへ弾き飛ばされた男がデッキにいたパーティー客に激突しそのまま客諸共、海へ落ちる。 もうホール内は阿鼻叫喚の現場になっていた。 銃撃戦やカイトの電流に怪我をしたパーティー客。 逃げ惑い、デッキから落下する人。 そこに、突然背の高い美しい男が現れた。 近くにいる武装集団をいとも簡単に薙ぎ倒しどんどん制圧していく。 彼は一体誰だ?!

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