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深く、だけど確実に_3
「俺にも行かせてください」
「駄目だ」
こうなったら小さい攻防戦しかなかった…
「なんでですか?」
「危険すぎる、それになんかあったら大学側とか面倒だ…っ!?」
俺が最後の言葉を言い切る前に急に視界が天井を向いた
「!?」
その後すぐに芳野の顔がドアップが現れる、どうやら俺は机を下にして芳野に組み敷かれた
「行かせてくれないなら今ここでキスしますよ」
「は、…はぁ!?」
何をするかと思えばとんでもない、言葉が返ってきた
「ふざけ…っ!」
身を捩って解こうにも腕は芳野に押さえ付けられて逃げられない
「ちょ…!芳野!!冗談はよせ!!」
「冗談じゃないのでやめません」
「この…!」
力が強い!嘘だろ俺だって鍛えていないわけじゃないのに…
「…俺じゃ、頼りないですか?」
「え?」
間近で俺を見つめる芳野の顔は、親に怒られた子供のように凄く切ない顔をしていた
その時だった
「コラァ!!!芳野!!お前何してんだよ!!!!!!」
聞き覚えのある怒鳴り声、平沢だ
「お前!俺だって!まだ!…羨ましい…!っ違う!離れろ!!」
なんかうるせぇ、うるせぇけど、とりあえず助かった…
ベリっと効果音が出そうな勢いで剥がされる俺と芳野
体勢を整えて辺りを見渡せば、いつもの変な顔でキレている平沢とキラキラした顔でスマホを握っている柳井の顔があった。
芳野をもう一度見ると、いつもの飄々とした顔になっていた
(こいつは、ほんとうに…)
芳野、と俺が声を掛けようとしたその時だった…
「いやー、芳野くんお待たせーこれ渡せば大丈夫…、何かあった?」
タイミングがいいんだか悪いんだか、呑気に田原さんが戻ってきた
あぁ、もう面倒だ、いや俺が元だから言えたギリじゃないけど…
「田原さん、ちょうどいいや。今ここで話しておきましょう」
「え?へ?」
「その前に芳野」
「ハイ…」
俺はまっすぐ芳野を見つめる。
好きとか恋愛感情とかよくわからないが、行きたいと言っているのは本心だろう
剥がされる前の表情でなんとなくそう感じた
「場所は、山奥だ。疲れただ無理とか言ってられないぞ」
「俺がそんな生半可な気持ちで行きたいだなんて言うと思ってたんですか?」
ムスッとした表情で芳野が答えてくれて、なんだかおかしくなった
俺らのそのやり取りで、田原さんも察してくれたようだった
「これは芳野くんも行く気でいるのかな?一応僕は賛成かな、そうすれば君も無茶はしないでしょ」
そう言って俺に向けた視線はどこか鋭かった、さっきまでの呑気だった人とは思えないほどに
「えっ?え?3人してなんの話ですか!?俺にも話てくださいよ!!」
「そうですよ!!」
そして、放置気味にされていた平沢と柳井も入り、俺は今までの経緯と今回の取材内容を話す事にした。
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