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トリックオアトリート!
「あれ? 蒼、髪切ったの?」
家に帰ってくるなり、ソファに腰掛ける蒼をみつける。蒼は伸びた髪を切って、前髪もワックスで撫でて朝よりも男前になっていた。
そろそろ冬が近づき寒くなるというのに、急にさっぱりした蒼の髪型に驚いてしまう。今日は休日で、自分はユーリとランチをしていた。蒼は昼間で寝たいというので、そっとしといた。
つい今朝まで、伸びていたので黒いゴムを後ろに括り付けて纏めていたのに、尻尾のような髪の毛が無くなるとどこか寂しく感じる。上から見下ろすように、ソファに座る蒼の顔を覗く。
「おかえり、皐月。似合うかな?」
蒼は皐月に軽く唇にキスをして、笑いかける。相変わらず甘い声に色気がたっぷりなのでドキドキと胸が高鳴ってしまう。自分だけが蒼の魅力に取りつかれているようで悔しくなり、蒼の耳元を浅めに噛む。
「…………似合ってる。すごい、理想のタイプ」
結婚してからも相変わらず幸せな毎日を送っていて、蒼は優しいし、色気もたっぷりで毎日くらくらする程に楽しく過ごしている。今のところ健康そのもので、お酒も少々嗜み、今日は夕方から黒瀬と悠がハロウィンということもあり、4人で集まって食事をする予定だ。
蒼の横に腰掛けて、凭れながらテレビを眺める。蒼はミステリー映画を見ていたようだ。
時間はまだ14時だ。
夕食の準備まで時間があるのを確認すると、蒼は時計を横目に腰を引き寄せ唇を合わせる。
「皐月、面白い事しよっか?」
にこっと爽やかに笑って、リモコンでテレビの電源を消す。
そして蒼は使わなくなった黒ゴムを出して笑顔で目の前に見せつけた。。
「何、それ……? ……わっ…! どこ行くの?」
蒼は自分を抱き上げて立ちあがる。
横抱きにしながら、リビングをでる。
「寝室だよ。ちょっとだけね」
唇を軽く重ねて、蒼は寝室へ移動する。
また明るい寝室には変えたばかりのシーツが新品のように敷かれている。昨夜、散々汚したばかりで、蒼が洗濯をして取り替えてくれたのだ。昨夜の情事を思い出すと恥ずかしくてなり顔が赤くなってしまう。
「……ちょっとだけって……?」
蒼は自分をベッドに下ろすと、恥じらう事なく急に服を脱ぎ始める。
引き締まった筋肉質な男の身体が昼間の陽光に晒されて、鼓動が早くなってしまう。
「皐月も脱いで。全部脱いだら、教えてあげる」
昼間から爽やかに微笑んで、蒼は鍛えた腹筋を見せびらかすようにベッドの上に乗ってくる。
エアコンのスイッチをつけて室内を温めると、ギシっと蒼の体重でベッドが軋む。
「……な、なに……?」
ドキドキと高鳴る鼓動を抑えながらも、素直に従いながら服を脱ぐ。脱がないともっと恥ずかしい事をされそうで、従順になるのが最善だと分かっている。蒼とは違う白い身体が露わになり、全て脱ぎ終わると一糸纏わない二人の身体がベッドで重なった。肌と肌の感触に熱を帯びてくる。
「…………皐月、これを両手で頭の上で持って仰向けになって」
蒼に黒いゴムの輪っかを渡されて、頭の上で両手を上げて持つ。腕を上げて脇が晒されて、全て露わになり変な格好をさせられる。
真昼間の明るい室内で、仰向けになり裸体を晒して、股間の部分だけ聳え立つ自分のモノが分かる。毛布を羽織り、覆い被さるように蒼が身体に跨り上から見下ろす。不安げに見上げると蒼の薄緑色の瞳には色情が入り混じって見える。
「蒼、恥ずかしいよ…………」
「良いね、一度やってみたかったんだ。皐月、手を離さないでね」
黒い小さなゴムの輪っかを裸になりながら、両手を上げて頭の上で掴むなんてこんな卑猥なことを考えたことない。
蒼は満面の笑みを浮かべながら、露わになった乳首を吸う。最近吸われすぎで乳輪がぷっくりと膨らんで、悠とお風呂に入るのも躊躇してしまう時がある。
「……あっ……ダメっ……!」
そう言いながらも足りない感覚に胸が持ち上がってしまう。輪ゴムを両手で引きながらも悶えて身じろぐ。
「ほら、離さないで」
チュッチュッと蒼は胸からなぞるように、腹へ移動しながらキスを落とす。太腿に蒼の硬くなったモノを感じ、期待と快感を想像してさらに躰が熱く火照る。すでに自分のモノは蜜を垂らすように蒼の腹を濡らしている。
「……やっ……恥ずかし……ぃ……あぁ……」
甘い悦楽にビクビクと躰が揺れて、黒いゴムが左右に引っ張られる。
腕を上げているせいか、全身を蒼に捧げているような感覚が襲う。
「可愛いなぁ。舐めて欲しい?」
そう言われて、ふるふると首振る。夕方には悠達が来る。もうすぐ夕食の準備をしなければならない。
「……挿れてッ……すぐでいいから……」
蒼はローションを横から取り出して、ゆっくりと後孔をほぐしていく。
「勿体ないけど、挿れちゃうよ。いいの?」
こくこくと小さく頷くと、蒼は小さく溜息をついてコンドームをつけて雄を後孔に当てる。
昨夜もしたせいか、ゆるゆると蒼の雄が先端から挿入されていくのが分かる。太く脈打つ感覚が伝わり、孔を押し拡げられていく。
気持ち良い……ッ……。
輪ゴムを左右に引っ張りながら、接合部を眺めると蒼は腰を持ち上げて根元までずぶずぶと挿れている。蒼の肌に吸い付くように尻が鼠蹊部に重なる。
「……んぁっ……気持ちいぃ……ぁっ……あっ……!」
揺さぶられながら浅い部分を擦られていく。快感に支配されそうだ。
蒼は腰を掴みながら、露わになった脇の下を舐める。擽ったさとズクズクと責められ凌辱されていくような気分に、頭が真っ白になっていく。抽挿を繰り返されて、激しく腰を打ち付けられる。蒼の短い髪が揺れて、妖艶な雰囲気にのまれてイキそうだった。
「気持ちいい。皐月、もう離していいよ」
蒼はゴムを掴んでいる手を掴むと唇を重ね、隙間から長い舌を絡ませてくる。深く吸われ、さらに奥深くを突かれる。
「……イクッ…あぁ……あーーだめ……イクッ……」
堪らなく声が漏れ出て、ビクビクと躰が痙攣して深い絶頂に達してしまう。
そして蒼もゆっくりと奥を擦り揚げるとびくびくとナカで脈打つのが分かる。
鎮まっていく余韻に抱き合いながら、毛布の中で唇を軽く重ねた。
すると蒼はなにか思いついたような顔になり、身体を離してベッド傍にある棚からなにかを取り出した。
「……皐月、これ、つけていい?」
見ると、小さなポンポンのついたプラグだった。
「や、やだよ。そーゆうのは黒瀬で十分……」
「黒瀨さんで十分?」
しまった。失言だった。学生時代、黒瀬が興味半分で買ってきたプラグを弄られた記憶が蘇りそうになって首を振った。
「…………な、なんでもないです……あッ…………」
蒼はにこにこと穏やかな笑みを浮かべて、まだローションで濡れている孔にプラグを挿入した。
すると、予定より早くにブザーが玄関から聞こえる。
夕方集合なのにいつの間にか15時を回っていた。
「皐月、これを挿したまま会ってね?……ほら、愛しの悠君が来たから着替えてね」
怒りを滲ませながら蒼は元着ていた服を着始めて、身体を軽く拭いてくれ服を用意する。
身体を起こして動くとプラグの感触が伝わり、火照る躰が鎮まらない。
「…………あおッ……ん……」
涙目で見上げるが、蒼の地雷を踏んでしまったようだ。にっこりと微笑まれ、服を渡されるとおずおずと着替える。ぽんぽんがパンツから分からないように分厚い長めのセーターで隠す。
もう一度ブザーが押される音が聞こえ、蒼に手を引かれて玄関の扉を開けると悠が魔法使いの格好をして飛び込んでくる。
「サツキーーー! トリックオアトリート!」
か、可愛い………。
悠は笑顔で飛びついてきて、背伸びをして頬にキスをしてきた。悶える身体を落ち着かせながら、悠を抱き締める。お菓子は死ぬほど用意してあり、近所の子にも配った。
「悠、久しぶり! げ、やっぱり黒瀬も一緒か」
黒瀬の顔を見ると現実に取り戻されて顔を顰める。
「げ、じゃないよ。久しぶり、皐月。早く来ちゃったけど、お邪魔しちゃったかな? 顔、赤いけど大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ」
後ろから蒼がパンツの尻を撫でて、完璧な笑顔で蒼は黒瀬を出迎え、悠達をリビングに案内した。飾り付けは既に完了はしている。料理もオーブンに入れれば、すぐに用意できる。
「黒瀬さん、お久しぶりですね。さ、悠くんも入って。どうぞ」
「蒼さんも久しぶりだね。ではお構いなく、お邪魔するね。ありがとう。これ、君の好きな白ワイン」
黒瀬はワインの袋を渡し、すれ違いざまに耳元に顔を寄せてきた。
「な、なに?」
真っ赤になりながら、疼く躰を落ち着かせて言う。黒瀬はジロジロと自分を一瞥しながら全身を眺める。悠は魔法使いの格好で、蒼からお菓子を貰っていた。
「……順調みたいだね。幸せそうで良かった」
「お陰様で。幸せで後悔はないです」
黒瀬とは腐れ縁になりつつある。8年付き合って、別れられてお互い別々の道を歩められた。
顔を赤らめながら、きっと睨みつけると黒瀬は意地悪そうに微笑む。
「……ふーん。あ、ハロウィンのたびにネコのコスプレさせてごめんね、皐月。」
さーーと青ざめ、はっと後ろを振り返るといつの間か呼びに来た蒼がブチ切れそうな顔で黒瀬をみつめていた。
その晩、めちゃくちゃセックスしたのは言うまでもない。
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