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第30話

なにこれ、 ベッドから降りようとしたら脚元にあひるさんの形のおまるが置いてあって足を止めた しかし、次の瞬間おしっこしたくなっていることに気づいて 急いでベッドから降りてトイレに向かう おしっこ、でる、と 先っぽを抑えて出ないようにしてトイレに向かうと トイレの直前でじわっと先っぽが湿ったけど そのまま急いでトイレに入っておしっこをして そこでようやく気づいた おれ、今日おねしょしてない おしっこしながら おしりの方を確認するとやっぱり濡れてなくて ちょっと今パンツにちびったけど パンツもびしょびしょになってない、 「シバ、おはよう」 『きょうへい、おれ今日おねしょ、』 「おねしょしちゃったか?俺起きた時してなかったけど」 『してない!トイレの前でちょっとだけパンツに出たけど、』 見せて、とパンツの中に手を突っ込んで確認されると少し恥ずかしかったけど 「おお、本当にちょっとじゃん。偉かったな、シバ」 『うん』 「夜ちゃんと起きておしっこしたもんな」 そうだっけ、あんまり覚えてないけど トイレには行った気もしない そしてあのベッドの横にあったやつ、 『きょうへい、あれなに、ベッドの横にあったやつ』 「見てわかるだろ」 『なんであんなんあるの?』 「あー、会社に使ってないのあったから」 『おれ、あれつかった?』 と、ようやく思い出してきた 昨日、起きて ベッドから降りたらおしっこしていいって言われて ベッドから降りてあれに跨った、 「シバ、お前ベッドでおしっこ出ちゃうからベッドにいる時はしないように気を付けよ」 『おれ、あんなん使いたくない』 「…でも、昨日使えただろ」 『…はずかしい、きょうへい見てたんだろ?』 「見てたけど」 そう言われると凄く恥ずかしくて おれが、おまる使っておしっこしちゃうの見られたんだって 顔が熱くなった それに、また赤ちゃんだと思われる、 『や、使わない』 「でもシバおねしょしなくてえらかったじゃん」 『…それは、』 「シバ。夜トイレ行けない時はおまる使おうな。トイレ行けそうだったら行けばいいし」 『やだ』 「じゃあおねしょの方がいいか?」 『それもやだ』 でも同じくらい嫌なんだ せっかくおねしょしなくて嬉しかったのに なんだかまた悲しくなってしまった 「でもちゃんとおもらしでもおねしょでもなくできたじゃん。寝るとき用のトイレだよ、あれ」 『…でも、きょうへいに見られたくないんだもん』 「じゃあもう見ねえから」 『……もう使わないし』 もう使わない、 昨日だっておきておしっこしたんだから今日はトイレに行けばいいし 『おねしょしなかったから今日の夜はおむつしなくて良いだろ?』 「そうだな、約束だもんな」 『うん』 今日の夜はおむつもしないし、 あのはずかしいおまるも使わない 『なんで、あんなの、持ってきたの』 「寝室からトイレ遠いからシバ嫌だろ。間に合うならいいけど」 『……間に合うし、』 「今日の夜も一応用意しておくから。起きておしっこ間に合わなそうだったら使いな。シバが使う時はペットシート中に敷いてるからおしっこしてもすぐ片付けられるし」 『だからつかわないし、』 つかわないって言ってるのに きょうへいは何も言わずにおれの頭を撫でた なんだよ、と膨れてしまう 「シバ、パンツ替えてどっか行くか。せっかく休みだしデートしよ。この前できなかったやつ」 『デート、』 「シバかっこいい洋服この前買ったのに虎太郎きて約束した時出来なかったろ?だから今日デートするか」 『デートする!』 きょうへい、忘れちゃったと思ってたけど ちゃんと覚えててくれたんだと嬉しくなった 「よーし、じゃあ支度しよ」 『おれシャワー浴びてくる!』 せっかくのデートだ、 さっきおしっこチビったのも全部流して キレイにしてかっこよくしなきゃいけない 「おお、自分でできるか?」 『できる』 と、言い残してそのままシャワーを浴びに向かった どこ行こうかな、デート ◆◇ シャワーを浴び終わると 腰にタオルを巻いて考えていた こっちのかっこいいパンツにするか 念の為、昼間用のもこもこパンツにするか ちょっと迷ったけど この前買ったズボンがちょっと細身だったから やっぱりかっこいいパンツにしよ、と 新しく買ってもらった新品のナノボクサーのやつにした 鼻歌を歌いながら髪もセットをして 洋服も着て鏡で全身チェックする よし、完璧 なんかちゃんとしてる気がする 「シバー、朝飯は?」 『外で食べる』 と、リビングから聞こえてくるきょうへいの声に大きな声で返事をした 『じゃあ、きょうへい、おれ、先行くからな』 「は?先行くの?なんで?」 『デートだから外で待ち合わせ!後でね』 と、家から出て 待ち合わせの場所に先に向かう事にした

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