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第60話

『ハンバーグが本物のやつがいい、ハンバーガーの』 「ハンバーガーな」 と、シバのお気に入りのハンバーガーのお店に行くことにして 駅の方に車で向かった 『チーズバーガーにする、きょうへいは?』 「バーベキューバーガー。飲み物は?」 『ブルーラズベリースラッシュ』 「冷たいの平気か?」 『だって、お店のなか暖かいじゃん』 まぁいいか、と お店の人を呼んで注文する 「あー、チーズバーガーの方、切ってもらう事できますか?」 「はい、できますよー」 「じゃあ食べやすいように切ってもらっていいですか?」 「かしこまりました」 と、注文を終えるとシバが俺の顔をずっと見ていた 「なに」 『おれ、大きいハンバーガーでも食べれるよ』 「シバいっつも上手に食えねえじゃん。ボタボタ落とすし手も口の周りも汚すし」 『今日は上手に食べれる気がすんのに』 「じゃあ今日上手に食えたら次からは大きいままにしような」 『うん』 別に大きくても小さくてもいいんじゃねえかな 小さい方が食べやすいし 「俺も上手に食えないから切ってもらえばよかったなー」 『きょうへいも上手に食えないの?』 「ここのハンバーガーでけえじゃん。小さい方が食いやすいし」 『じゃあ次はきょうへいの切ってもらったら?』 「そうだなー」 運ばれてきたハンバーガーは シバのは半分に切られていて それぞれ紙に包んであったからだいぶ食べやすそうになっていた 俺は零さないようにハンバーガーを裏返して食べる事にした 『うまい』 「よかったなー」 ポテト、といつの間に汚したのか ソースの付いた手で食ってたから その手で色んなところ触らないように先に拭いてやる 『何買いに行くの?お買い物』 「ええー、シバの色々と、まぁ食料と。俺の下着」 車の長距離移動のおもらし対策のあれこれとか… 『きょうへい下着買うの?』 「うん。シバのばっかり買ってて俺のあんまり買ってなかったし。俺もヒートテック欲しい」 『どんなん買うの?Tバック』 「いや、買わねえけど、普通の。シバも新しいパンツ買うか?」 『……おれ、あんまり大人のパンツ最近履けないからいらない』 と、落ち込ませてしまった 確かにこの時期はおもらしパンツとか吸水機能があるパンツばっかり履かせてるし最近はほぼおむつだしな… 「…まぁ、もうすぐ年明けだし買うか、新しいパンツ」 『なんで?』 「新年なんだから新しいやつのがいいだろ」 『そういうもん?』 「そういうもん」 『じゃあ新しい洋服も見に行っていい?』 「おお、いいけど。欲しいの?」 『自分で選んで自分で買うからきょうへいには内緒な』 「なんで、見せてくれてもいいじゃん」 『だってきょうへいと旅行初めてじゃん。きょうへいの実家とか出張とかはあったけど』 「まぁ、そうだな?」 『かっこいい服着てきたいし……』 「お前可愛すぎんだろ」 と、おでこを撫でた所でここが家じゃない事を思い出しそれ以上の事をするのはやめておく 「じゃあ向こうついたらちょっと別行動するか」 『うん』 と、口の横を汚しているシバの口元を吹いてやると自分でできるし、とすぐに自分でもう一度拭くシバ 俺もシバに見られたくないシバのおもらし対策の買い物があったからちょうど良かった 「俺の実家の連中はなんか美味いもん食ってスキーするって雪降ってる方行くらしいぞ」 『へえ、スキーしたことない』 「ねえの?スキー。スノボは?」 『スノボは高校の修学旅行でした』 「へえ、そんなんしたんだ。最近してねえなあ、スキーもスノボも」 『きょうへい得意なの、スキーとか、スノボとか』 「得意ってほどでもねえけど、学生時代とか若い頃はよく仲間内でスノボ行ってたぞ。小さい頃親に連れられてスキーも行ってたし」 『きょうへい、スキー行きたかった?みんなで、』 「いや、今更家族でスキー行ってもな…」 『そっか、』 「なんで?」 『……きょうへい、なんでおれのこと旅行連れてってくれんの?』 と、いじいじとストローの入ってた紙の袋を手でちまちま折りながら聞いてくるシバ なんだ、急に 「ええ?なんで?温泉入りたくねえの?」 『いや、入りたいけど…』 「あ、お前もしかして俺が家族旅行しないでシバと温泉行くこと気にしたりしてんの」 『いや、それは、』 「安心しろ、家族旅行の方には誘われてもいねえし。もし誘われるとしたらシバも一緒に誘われるだろうし。それに今回はミサも行かねえって」 『そうなんだ、』 「…お前の家族も毎年旅行行ってんだろ、年末年始」 『え?うん、』 「それと一緒だよ」 『あー、うん。なるほど』 「だから余計な心配すんな」 と、シバの頭を撫でると シバは俺の手を捕まえて止めた 『おんせん、たのしみ』 「そっか。温泉付きの部屋取ったから2人で入ろうな」 『なにそれ、いい部屋?』 「あぁ、すっげえいい部屋」 『うわ、でた。きょうへいのいきなり社長感出すところ』 「なんで、いいじゃん。つか予約ぎりぎり過ぎて安い部屋とか空いてなかったし」 『そうなの?』 「だって、いきなりシバと温泉行きたくなったからしょうがねえじゃん?」 『………それは……しょうがない、』 「な、前々から行こう行こうって言ってたけど仕事で中々機会無かったしなー。たのしみ。俺も服買おうかな」 と、アイスコーヒーを飲みながら言うと 何故かふん、とそっぽを向くシバ え、なんか気に触る事言ったか?とシバの顔を覗き込む 『……』 「…どうした?顔赤くして。室内暖かいから逆上せたか?」 ええ、なに、熱?と シバのおでこを触った ええ、なんか遠足前に熱出すとかそういう子供のやつ?とシバのおでこに手を当て 今日の買い物は中止か?と考えていたら シバが俺の手首を掴んで外させる 『きょうへい、ばかじゃねえの、』 「なにが、」 『いこ。おれたのしみだから早く買い物行きたい』 「お前大丈夫か?逆上せたり熱とか」 『大丈夫、なんともないから、』 「本当に?」 『本当だし、きょうへいばか』 「なんだよ、心配してんのに馬鹿とは」 『……きょうへいが変なこと言うから、顔熱くなっただけじゃん、』 「変なこと?」 『おれと…温泉行きたくなったとか……たのしみ、とか、』 「…そんなん、今更、」 『だって、嬉しかったからしょうがねえじゃん…なぁ、本当にもう行こ、なんかもうやだ』 と、おでこに手を当て顔を隠すシバ なんだよ、本当に今更… かわいすぎんだろ すっげえたのしみ、温泉

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