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第62話(番外編)

今日は休みだった やることも無く気まぐれにふらっと出かけただけだった そして今、目の前にとても気になるものがある 「…なに、どこ行きたいの?」 と、気になる物、 目の前の子供におもわず声をかけてしまうと ビクリっと肩を揺らした そして、おそるおそる俺の顔を見て 振り返り他の誰かに話しかけているのでは無いかと確認した子供 「お前に話しかけてんだぞ?」 『……えっと、』 間違えなく自分が話しかけられているとわかった子供は帽子を深く被り直してぎゅっとリュックの肩紐を両手で握ってちらりと俺の事を見てまた直ぐに目をそらす しかし人が少ないこの駅で周りも特に人が居なく、俺が話しかけているのは明らかにその子供で、帽子を深く被っているから良くは見えないが、子供はどうしようといった顔でまた俺のことを見た 身長は150センチちょっとくらいか、 細い体はおそらく小学生だろう 「だから、どこ行きたいの?お前さっきからずっと路線図見てウロウロしてんじゃん」 『……△〇駅、』 「△〇駅か、随分遠いな」 『遠いの?』 「あぁ、まぁ快速待ったら20分くらいで乗り換えの駅着くから。そこで私鉄に乗り換えたら2駅」 『そっか、快速、』 「…乗り換えの駅まで俺も行く予定あるから。私鉄の所まで連れてくけど」 『えっと、』 「どうする?」 『………おねがい、』 と、子供は 1席開けたベンチの隣に腰を下ろした 「ここら辺の電車わかんねえの?」 『えっと、うん、』 「どっからきたの?」 『川崎のほう、』 「なに、神奈川じゃん。つかそっちから行った方が△〇駅近いだろ」 『でんしゃ、まちがえた…気付いたら快速で、ここ来ちゃったから』 「へえ、どんまい」 『お兄さんは、ここ近くなの?』 「うん、まあ近い」 と、ちらりと子供を見ると 首筋に汗が伝っていて そういや熱いもんな、と手で扇いで僅かな風を送った 「お前熱いからちゃんと飲み物飲めよ。熱中症になるぞ」 『熱中症、』 と、ぼーっと俺の言葉を繰り返した こりゃ乗り過ごすわ、と思いながら 自販機でポカリを2つ買って1つ子供に渡す 「飲んどきな、熱中症で倒れられた方が大変だし」 『…ありがとう』 と、子供はポカリを受け取り ぐびぐびと1/3ほど飲み帽子を外しておでこの汗を拭った そこでようやく子供の顔をハッキリと見て驚く 汗でしっとりとして 黒い髪がよりつやつやと光って見える、 そしてくりくりとした瞳も真っ黒で 印象が強い 「……お前男?キレイな顔してんな」 『…男だもん』 と、気にしていたのか む、と少し膨らんだ 「悪い悪い」 と、オレもポカリを飲み汗を拭った 子供は汗を拭うとまた深く帽子を被り ちびちびとポカリを飲みながら電車を待つ ちょっと怒らせたがポカリ飲んでるし熱中症は大丈夫そうだな、もうすぐ電車も来るし と、ちらりと子供を見ると 落ち着かないのか少しもじもじと揺れていて 『でんしゃ、なんじにくる?』 と、不意に顔を上げて聞いてくる 「あと3分くらいだけど」 『そっか…次のでんしゃは?』 「次の快速?多分25分後くらいだと思うけど」 『ふーん、』 と、子供はまた路線図の横の看板の駅構内図をチラチラと見る 「どうかしたか?」 『…なんでもない、』 と、まもなく電車が来て 2人でようやく乗り込むと 中はエアコンが聞いていて 今まで暑かった分天国のようで汗が一気に引っ込む 「そういやお前、何しに行くの?△〇駅」 『学校見学…受ける学校の、説明会?の前に、今日は場所見にいくって学校で宿題でた、』 へえ、今小学校でも受験するやつ多いからなあ、夏休みの宿題か 「へえ、下見しといてよかったな。説明会当日に電車間違えたら大変だし」 『…うん。お兄さんは、どこいくの?』 「まぁ、休みだからちょっと買い物行こうかなってだけ」 『そっか、』 と子供は呟き窓の外を眺めた しかし、まもなくして また腰をもじもじと動かすから 隣りに座っている俺にまで振動がくる 「…どうかしたか?」 『…なんでもない、』 人見知りなのか 子どもはひたすら窓の外を眺めていて ほぼ無言で最初の駅に着くと ぴく、と子供が反応し立ち上がる 「ここじゃないぞ。降りるの次の駅」 『つぎの、えき、』 と、少し迷ったような顔をして また俺の隣りに腰を下ろした 『つくまで、どれくらい?』 と、また腰を揺らしながら聞いてくるから 「まぁ、10分くらいか?」 『そっか、』 と、子供は膝の上で手をぎゅっと握った 「…受験すんの?見に行く学校」 『うん、来年だけど、』 「へえ、」 って事は5年生か 今は早いうちから受験の準備大変だろうな 「1人で電車初めてか?」 『はじめてじゃないけど、乗り換えすんのはあんまりしたこと無かった』 だから電車間違えたのか、と納得していると また子供の腰がもじりと揺れ 一瞬だが、確実に きゅっ、と自分の中心をにぎった子供 しかし、ぱっと、直ぐにその手は離して ぎゅっとまた膝の上で指先が白くなるくらい拳を握る よく見たら こめかみから汗が伝っていて この涼しい電車の中では多すぎる汗の量 そして、 何時に電車が来るか、 後何分で電車が、着くかと 気にしていたさっきの様子でわかってしまった 「なぁ……もしかして、トイレ行きたい?」 と、聞くと びくっと肩を震わせて みるみる顔が、というか 帽子から見えてる耳が赤くなる 『……ちょっと、行きたい』 「そっか、大丈夫か?」 と、一応聞いてみたが まぁここではどうする事もできないから我慢してもらうしかないけど 子供は少しの間をおいて こくん、と頷く 「いつから我慢してた?」 『電車乗る、ちょっと前から、』 という事はあの 何時に電車来るか聞いてきた辺りだろう 「駅ついたらすぐにトイレ連れてってやるから」 と、ぽんぽんと帽子越しに頭を撫でる そういやポカリがぶがぶ飲んでたし 電車のエアコンで汗も冷えたからな… 余計トイレ行きたくなってしまったのだろう 『…っ、』 「…結構やばいか?」 と、聞くとふるふると首を振るが 脚は小刻みにカタカタと動いていて 明らかにやばい そして、きゅっ、と股間を不意に抑えてしまうのを我慢できなくなっていた 『といれ、』 「あと5分くらいだから…おさえとけば?人すくねえし誰も見てねえから」 夏休みとはいえ平日の昼間だ 電車に乗っている人は少なく この車両も 俺らから離れたところに人がポツポツいるぐらいでその人たちも各々イヤホンをして小説やら睡眠やら自分の時間に没頭していた 俺のその言葉で子供は そろそろと自分の股間に手を伸ばし きゅっと握った さすがに高学年になったら恥ずかしいよな、人前でそんなとこ抑えるの 抑えたことによりだいぶ我慢しやすくなったのだろう、 もじもじと腰を揺らしながらも 『っ、』 子供は息をつめ、どうにか我慢を続けた そして、ようやく アナウンスにより、目的の駅が知らされて 俺の方が急いで立ち上がってしまう 「着いたぞ」 『んんっ、』 と、子供はにぎにぎと股間を揉みこみ どうにか立ち上がる しかし、この駅は電車が集中していて結構大きい駅だ 駅にアトレとかユニクロとかはいってるし 電車から降りたら人も多いだろう 「人多いから手離せるか?」 と、子どもに聞くと ゆっくりとこくん、と頷き 手を離すが 手の下には500円ほどの丸い染みがあり 嘘だろ、と思ったのもつかの間 じわじわっと染みが広がり子供はすぐにまた股間を握る 『…でちゃ、』 「もう抑えたままでいいから。行くぞ」 と、見ず知らずの子供の手を引いて 電車のドアが開くと同時に飛び降りトイレに向かう 『あっ、やっ、んんっ、ひっぱったら、ぁあ、ぅ』 と、子供が半泣きで声を上げていて 「大丈夫か?」 と、振り返るが 子供はにぎにぎと股間を揉みこみ ふるふると首を振った 「もうちょいだから」 半泣きの子供をどうにか慰めつつトイレに連れていき 『あ、っぁあ、っ』 と、いかにもヤバそうな声を上げ どうにか着いてきた子供 そして ようやくトイレの前について 男子トイレに入ろうとするが 『んんっ、むり、でちゃ、ぁっ、』 と、脚をバタバタさせていて 進めなくなっていて ちょろ、とおしっこが子供の脚を伝って 靴下に染み込むのが見える 「うわ、っ」 もうダメだ、と判断し 男子トイレの1歩手前 多目的トイレに子供の腕を引いて連れ込む そこで子供の限界が近付き じょわっと一気にズボンの染みを広げた 『はぁあ、っあ、っ、あっ、っでてる、ぅぁ』 と、お尻を振って耐えている子供をどうにかトイレの前に立たせてもう水をこぼしているズボンと下着をまとめて下ろしてやると ちょろろ、っしょわっと 残っていたおしっこを一気にトイレに向かって流していく かなり我慢していたようで じょおおお、という勢いのいい水の音はなかなか鳴り止まず 最後に しょろろろ、ちょろっ、と情けない音をさせ ぷるっと背すじを震わせ子供のおしっこは終わった 「あー……」 『はぁあ、……おしっこ、でちゃった、』 さて、どうしたもんか、と子供を見るが 子供は下を向いてぐすん、と鼻を鳴らし 濡らした股間をぐじゅぐじゅと握っていた 床は何滴か落ちた程度でほぼ問題ないが 子供の服はもうぐっしょり濡れていて 明らかにおもらししました、という格好だ 「…お前さあ、トイレ行きたいなら早めに言えよ」 『ごめんなさい、』 と、ぐすぐすとさらに鼻を鳴らしながら謝る子どもに やってしまった、と頭をかく ただでさえおもらしして落ち込んでんのに何追い詰めてんだよ俺… それに出会ったばかりの人間にトイレ行きたいとか言える状況じゃなかったろうし 「とりあえず、俺着替えとか調達してくるから待てるか?」 と聞くと子供は 目にいっぱい涙をためながらも うん、と頷く 「靴は?濡れてる?」 と、聞くとふるふると首を振るからどうやら靴は無事だったようだ 「じゃあ、できるだけ早く戻るから、拭けたら拭いとけよ」 と、言い残し多目的トイレを後にした ◇◆ ユニクロでズボンと靴下、下着を買い 薬局でおしりふきとタオルを買って急いでトイレに戻った 大きい駅で助かった、 駅ナカにユニクロと薬局あったからすぐ戻ってこれた トントン、と多目的トイレのドアをノックし 俺だけど、と伝えると 控えめにドアが開いて さっきの子供が心配そうに覗き込む 居た、と俺も何となく安心した いや、下半身びしょ濡れでどこも行けねえとはおもうけど… 「ほら、買ってきたから」 『うん、』 と、子供は袋を受け取り 中を覗き込むが中々動かない つか拭いとけって言ったのに 俺が出ていったときのままだし… とりあえず中に入ってもう一度鍵をかけた 「これタオルとお尻拭きな、タオルは捨てていいしお尻拭きはトイレに流せるやつだから。拭いてから着替える、分かったか?」 と、聞いて 子供が頷くのを確認し、トイレを出ようとするが 子どもはわたわたと手に袋をぶら下げて何から手をつけていいかわからないといった感じだった 「…手伝うか?」 『じぶんで、』 と、言ったものの一向に手が動かない 「……純粋な人助けだからな、泣くなよ」 と、子供の頭を帽子越しに1度撫で 子供から袋を受け取って中身を取り出す 「じゃあ、ここに濡れた物とりあえず入れな」 と、買ってきた服を出して 棚の上においてユニクロの袋を開いて出すと 恥ずかしそうに片足ずつ靴下から脱いでいく 恥ずかしがるだろうからあんまり見ないようにしていると子供はあんまり濡れていない靴下、そしてびしょ濡れのズボンを袋に入れ 最後に自分の股間を隠しながらぐっしょり濡れたパンツ、元は白かったであろう薄黄色に濡れたブリーフを脱ぎぺちゃり、と袋の中に入れたから袋の口を縛ってやる 「タオルで拭けるか?」 と、タオルを渡すとモタモタと子供はどうにかタオルで拭いていき その手際の悪さに何度も手が出そうになったが 次使うであろうあろうお尻拭きのパッケージを開けて待ちながらどうにか耐えると だいたいの水分を拭き終わった子供 すっげえ手際悪いのと俺に見られんの恥ずかしいから隠しながらやってたから余計時間かかったんだな… 「…腰にタオル巻いときな、脚拭いてやるから」 と、いうと子供は頷き 言われた通り腰にタオルを巻いたから 「拭くけどいいか?」 と、聞き うん、と頷いたのを確認してから子供の前にしゃがみお尻拭きで脚から拭いていく 脚の下の方から太もも、 しりのほうはサッと拭いて 股間は恥ずかしいだろうから自分で拭いてもらうことにしよう、と 余っても今後使う予定のないお尻拭きはふんだんに浸かって存分にキレイにしてやる 「さて、」 終わった、と子供の向きを正面に戻したときだ はらり、と腰に巻いていたタオルが落ち まだ皮かぶりの子供ちんちんと生えかけのうっすい毛が俺の目の前にご開帳される 「あ、」 『あっ』 と、子供は顔を真っ赤にして 直ぐに手でちんちんを隠す 「…わるい、まぁ男同士だし気にすんな」 と、すぐに目をそらし 子供に新しいおしりふきを渡す 「これで拭いて服着な」 と、言うとうん、と頷き 俺は手を洗って子どもが服を着るまで目を逸らして待つことにする 『あの、』 しかし、子供に声をかけられ振り向くと まだちんちんをぶら下げたままの子供 一度見られたから諦めたのだろうか 「…どうした?」 『これ、ぱんつ?』 と、俺が買ってきた黒いボクサーパンツを広げて見せる子供 「あー、うん」 そういやこいつさっき白ブリーフ履いてたな… 『そうなんだ』 と、パンツに脚を通しようやくちんちんをしまった ……この子供、 気をつけねえと襲われんじゃねえの 「パンツ適当に買ってきたからごめんな、お前のと違ったよな?」 『…学校では、そのパンツみたいなの履いてる人多いから』 「…あーそうか?」 『お兄さんは?そういうパンツ?』 「あぁ、そうだな」 『そっか…おれも、かっこいいからこういうパンツ履きたかったんだよね』 「…へえ、今の小学生はもうみんなボクサーとか履いてんの?」 『…小学生?しらない、』 と、子供はズボンを履いて 靴下にも脚を通す 「サイズ大丈夫か?」 『…うん、』 ほら、と荷物を持っててやり 子供が手を洗うのを待つ 『これ、リュックに入れてもいい?』 と、先程濡らした物が入った袋を入れようと リュックを前に持ってくるから手伝ってやろうとチャックを開けたリュックの口を広げる 「……△〇高校?」 と、ちらりとリュックの中に見えたパンフレットの高校の名前をおもわず読み上げる 『それ、見に行こうと思ってる学校』 「……高校?受ける学校?」 『うん、そうだよ?』 「………お前、中学生なの?」 『え?うん』 「は?中学生なのに漏らしたの?」 と、おもわず口にしてしまい しまった、と口を塞いだが後の祭りだ 子供は下を向き顔を真っ赤にしてぷるぷる震えていた 「わ、わるい。失敗なんて誰にでもあるって」 と、遅れてフォローするが 子供はくすん、と鼻を啜った 『おれ、トイレにがてなんだもん、』 「…悪いって。大丈夫だよ、そのうち上手に出来るようになるから、」 『おもらしして、ごめんなさい、』 と、泣きそうな声で言うから 頭を撫でてやった 多目的トイレから出て いよいよ目的の乗り換えの電車に行くことにした 「じゃあ、ここから2駅だから気をつけろよ」 バイバイ、と手を振って送り出そうとしたが 『…お兄さん、おかね、洋服とか』 と、子供は心配そうに俺の事を見上げる 「いいってそんなん。ポカリ飲ませた俺のせいでもあるし」 『でも、』 「大丈夫だから。お前も大変だったし電車ではおもらししないで頑張ったんだからご褒美だよ。下見、頑張れよ」 『…ありがとう、』 と、帽子を取り頭を下げた子供 そして やっぱりびっくりするぐらいキレイな顔を上げてにっこりと笑ってバイバイと手を振った バイバイ、と俺も手を振り 改札の中に消えていく子供を見送った …休み潰れたけど まぁ、人助けと思えば悪くないか

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