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side さくら  新たな暮らしをスタートさせて2ケ月が過ぎた。 怜と「恋人同士」として一緒に暮らすようになったけれど、生活パターンは以前とほとんど変わっていない。俺と怜が肉体関係を持つような仲になったって事が一番変わったことで、それ以外はそのままかな。まぁ、気持ち的には、前とは全然違うんだけど――。  で、今日と明日は俺の仕事が休みだから、明日はまた2人で商店街に買い物に行く予定でいる。俺は最近、それがすごく楽しみなのだ。 夫婦ではないけれど、怜と恋人同士というか、パートナーとして生活しているので、以前よりも自然な距離感で商店街の人達と話が出来るし、堂々と手を繋いで歩けるし…。 前よりも仲良くなったんじゃない? って色んな店で言われるのだ。  そりゃね、今はお互い「大好きだー」って言えるような幸せな関係になったからなんだよね。  商店街には、水沼先生の家に行く少し前くらいから行ってなかったから、久しぶりに会った八百屋のじいさんとばあさんは、とっても喜んでくれたっけ。  ばあさんに「つわりだったの?」と聞かれた時には、『ついにきちゃったか…』と思って、否定するのも申し訳ないような気がしたけど…。  近いうちに「俺達の間には子供が出来ないんだ」ということを、きちんと伝えなくては…。でも、今さら俺が男だって事を言うのはやめようと思っている。だって…同性愛とか同性婚とかいうことを、2人に理解してもらうのは難しいような気がするんだ。だから、子供が出来ない体質なんだとでも伝えようかと思っている。  怜は自分がついた嘘なので、自分がちゃんと本当の事を話するから…と言っていたけれど、俺は本当の事を言うことだけが正しいとは思っていない――。  せめて、あの2人が元気でいる間は、俺は可愛らしい奥さんを演じていようと思うんだ。  それにしても… 俺、オカマバーに努めているし、時には男と肉体関係を持つようなこともあったけれど、それでも恋愛対象は女性だった……はずなのに――。生物学上、俺と同じ雄で、そのうえ吸血鬼(まだ、人間になるのか分からない)の怜に恋してしまうなんて、自分でも理解不能なことだった。  もしかしたら、怜がすごく優しくて、俺の為に尽くしてくれるから、そう言う所に引かれて好きになっていったのかな?(と言っても、最初は、ある意味契約みたいな感じだったから怜は俺の為に色々やってくれていたわけなのだけど…)  小さなことの積み重ねで人に好意を持つようになることなんて普通のことだろうし……その相手が男性だっただけで…。  まぁ良いや。別に、深く考える必要はないさ。お互い好きになったんだから、問題ない。

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