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第1話

 広々とした部屋の壁際には撮影用のスクリーンが置かれ、その向かい側に大勢の人が集まっている。年齢から性別に至るまでバラバラの人々は、熱心に、何人かは前のめりになりながら同じ方向を見つめていた。  無数の視線を浴びながら、(つかさ)は煽情的に身体を反らせた。業界随一と名高いくびれをこれでもかというほど見せつけ、挑発的な笑みを浮かべる。下着以外には何も纏っておらず、その下着もGストリングという種類の非常にきわどいものであり、身体一つで見ている者の情欲を引き出す。 「いいよー司くん。もっと煽っちゃおっか」  数回フラッシュが焚かれた後、熱心にレンズをのぞき込んでいたカメラマンが興奮気味にそう口にした。すると司はレザーの黒いソファの上に猫のように横たわり、そのまま尻を高く持ち上げる。表情にはいたずらっぽさが加わり、さっきまでの挑戦的な雰囲気から一変して気ままな恋人のような面持ちだ。 「あーそれすっごくいいね。エロいエロい。ちょっとずつ体勢変えて何枚かいこう」  すかさずフラッシュが降り注がれ、司の白く引き締まった肌を照らす。表情を保ったまま、司はカメラマンの指示通りにわずかに身体の角度を変えた。まるでベッドの上で身じろぎをするようだと、誰かはそのような感想を抱いたという。

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