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ざっと見た感じ、ヤンキーの人数は10人ちょっとくらいか。どいつもこいつも、制服を着崩し髪を染め、しかめっ面で目付きの悪い連中ばかりだ。
「あ゛ん?絢斗一人かよ。テメェはいつもチャラついてて、見てて腹立つんだよ。前々からボコッてやりたかったから、丁度いいわ」
不良グループのNo.3の木村は低い声で吐き捨てると、睨みながらニヤリと口の端しを吊り上げた。
「別に、俺の事ボコッても構わねーけどォ。その前に、友さんを解放してくれない?そこまでやったんなら、もう十分だろォ?」
「はぁ?遠藤はグループを裏切ったんだよ。まだ、これぐらいじゃ、全然足りねぇわ」
何の迷いもなく、横たわる友さんの、既に折れてる太腿を踏みつけた。
仰け反り絞り出すような声を上げ、悶え苦しんでいる友さん……
動く事も、抵抗する事も出来ないくらい痛めてつけられているのに、何の躊躇もなく踏みつける木村と、まわりで薄ら笑いを浮かべソフトチップのダーツを投げたり、ビリヤードのキューで小突いてる連中に、沸々と怒りが込み上げてくる。
「しかし、こいつどーしょうもねぇ、間抜けだよなぁ。樋浦さんのオンナに惚れて、いいように利用されてんだろ?すげぇビッチで、男誘惑しまくってるみてーじゃん、内海って。そんな淫売の為に必死になってよぉ」
「柚希ちゃんは、ビッチじゃねぇしィ、人を利用するような、狡い人間じゃねぇよォ」
「内海ビッチだって。有働とヤッてる音声聞いたけど、すっげーエロかった。腰振って、甘ったるい喘ぎ声出して、おねだりなんかしててよ。ただの淫乱に、遠藤は夢見すぎなんだよ。現実わからせてやるのに、骨粉々にしてやったわ。ビッチのせいで、一生歩けねぇかもな。遠藤って、本当バカだぜ」
太腿を踏みつけている足を、更にグリグリと動かし、バカにしたように笑い声を上げた。
友さんは戦慄きながら、腫れた目からツーっと涙を流した。
最愛の人を侮辱され、
聞きたくもない卑猥な話しを聞かされて……
体の痛みだけじゃない……
きっと、心がズタボロに傷付き、悔しくて溢れ出た涙なんだろう。
「悪ィ……」
「はっ?何がだよ?」
「先に、謝っとくわァ……」
「だから、何だよ?さっさと言えよ!」
「テメェらの事、再起不能にしちまったらァ、ごめんな!ぶちギレちまって、抑え効かねぇわァ!」
「チャラ男の癖に、女の前だからって格好つけんなよ!」
後ろから「来ちゃった……ごめん」って、仔猫達が謝る声が聞こえ、振り返ると愛華もすまなそうな顔で三人と一緒に立っていた。
「……危なくなったら、絶対ェ、逃げろよォ。それだけは、約束なァ」
泣きそうな声で仔猫達は「わかった」と返事した。そのやりとりを見ていた木村は、かなり苛立った様子だ。
「あー、マジでムカつくわ……しかし、遠藤は絢斗でも、見習えばいいのにな。稀瑠空みてぇな極上ともヤりまくってんのに、ビッチ囲んで飽きたら捨ててさ。女たらしの、ヤリチン最低クズ男」
「まぁ、俺がヤリチンで最低でクズなのは違わねぇけどさァ……おまえ色々と、間違ってるからァ。みんな一途で、ビッチじゃねぇしィ。捨てられてんのは、いつも俺だからァ。それに一人一人、俺はちゃんと平等に愛してる。ただ、稀瑠空の事は特別なの。あいつの事は、世界で一番愛してるから」
「そーだよ。ケンティはすごい、大事にしてくれてるよ」
「ケンティの為なら、うちら命懸けられるしぃ」
「稀瑠空はムカつくけど、特別だってわかってるから」
「ただのギャラリーの癖に、でしゃばるなよ」
「はぁ?うちら戦闘要員で、来たつもりだけどぉ」
「おまえらは、ダメだって言ってんじゃん!」
「うちらだって、強いしぃ。絶対、ケンティの邪魔しないからぁ」
「いいからァ、下がってろよォ!」
「くそっ…イチャイチャしやがって……あぁ、胸くそ悪ぃ。手加減一切なしで、女もろともぶちのめしてやるわ」
戦うというという意思を曲げるつもりのない、美咲、麻奈、芽郁の三人は、俺の後ろで身構えた。
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