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もう、花火どころではなくて…… そのまま、バルコニーのソファーで身体を弄ぐり合い、貪るようにキスを続ける。 衣類が乱れ、はだけて半分裸の状態になっても、お互い止めようとしない。 一際大きい轟音鳴り、覆い尽くしそうなほどの花火が夜空を彩る。 その音に冷静になり、屋外でしている事が急に恥ずかしくなって、顔を赤らめた。 「しゅう……部屋で……しよ……」 「どうした?」 「どうも……しないけど……」 「顔、熱いな……恥ずかしいのか?」 柊は頬を手を添えて、体温を確かめる。 その手のひらに顔を擦り寄せるみたいに、コクリと頷いた。 「ベッドへ行くよ……」 軽々と俺をお姫様抱っこして、寝室へ運ばれる。 そのままベッドへ優しく下ろされ、柊が上から重なってきた。 バルコニーの続きみたいに、再びキスを始める。 今まで以上に、柊は激しかった。 心から俺を求めているのが、すごく伝わってきた。 「柚希……どこにも、行くなよ……俺の側に、ずっといて……」 「しゅう……」 前までは、柊を怒らせないように、怖くて嘘を吐けたけど…… 今は、嘘を吐きたくなかった。 正直、柊に気持ちは揺れている…… でも、心の奥に隠した陽人への想いは、すごく強くて…… 自分でもどうしていいのか、わからない。 「嘘で…いい……『側にいる』って…言って……」 いつもと違う、必死で余裕のない柊。 家族になった俺を失いたくなくて、縋りついてるみたいで…… 「……そばに…いる……どこにも……いかない……」 そんな柊を見てると胸が締め付けられ、自然と言葉が口に出ていた。 「愛してる……柚希……」 「あぁっ……しゅう……はげしっ……んっ……んぐ……」 痛いくらいキツく抱きしめられ、唇を塞がれた。そのまま、激しく抽挿し、中を掻き混ぜられる。 「愛してるよ……」 「ンン……んっ……ンゥ……」 愛の言葉を言う度、キスをしてきて、狂いそうになるほど、俺の感じる所を穿つ。その度に、ギュウッと柊のペニスを締め付け、柊から与えられる快楽がより増していく。 「ずっと……離さない……好きだ……」 「ゥウッ……んぐ……はゥ……」 俺に返事をさせないように、口を塞ぐ。 まるで、返ってくる言葉を、聞きたくないみたいに…… ーーいつもと俺の様子が違うから……柊は怖いんだ…… 何も考えないで “愛してる”って言えたら、 楽なんだろうな…… 口にした所で、本当の意味では柊の気持ちに、応えられない…… 柊への愛と、陽人への愛は種類が違うから。 俺が、“愛してる”って口にすれば 柊を糠喜びさせるだけで…… 結局、傷つけてしまう…… ーー言っちゃ……ダメだ……この気持ちは、俺一人だけで抱えて、黙っていればいい…… 「愛してる……柚希……」 柊に愛の言葉を言われる度に身体は昂り、悦んでいるのがわかった。 ーー愛してる……柊…… 本心を誤魔化すみたいに、柊に口付けし舌を絡めた。 口から愛の言葉が零れ落ちないように、甘い声を上げ悦がり狂った。

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