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引っ越しが済み、段ボール箱だらけのガランとした新居で、陽人とベッドへ寝そべった。
「今日から、二人きりだね」
「だな……」
「ずっと、一緒にいよう」
「んっ……」
「愛してるよ」
「俺も」
「俺も……何?」
「言わせる気かよ……」
「ちゃんと、聞きたいな」
「……陽人、愛してる…………んんっ……」
熱いキスが落とされる。
何度陽人と唇を重ねても、全然足りない。
お互いがお互いを求め会うみたいに、
何度も啄むように口付け合った。
壊れ物みたいに、優しく丁寧に愛撫を繰り返す陽人。
気持ちがよくて、でも優しい刺激がもどかしくて……
「そんなのいいから」なんて言うと「全身愛したい」なんて言われてしまい、嬉しさと恥ずかしさとで身体が熱くなった。
「柚希が欲しかったモノ、あげるからね」
「も……いちいち……うるせーよ……」
「ふふ、顔真っ赤。照れちゃって可愛いな」
「さっさと、挿れろよ………………あぁっ」
俺の中に挿入ってくる陽人。
身体も心もひとつに繋がっている。
もっと繋がりたくて、両手を繋ぐ。
そのまま陽人は俺の中を掻き回し、入り口から奥まで突き上げるように抽挿する。
俺は口から甘い声を上げる事しか出来なくなって、陽人を締め付ける。
ーーあっ……気持ちいい……気持ちよすぎて……このまま、どろどろに溶けて……消えてしまいそう……
「ゆず……あいしてる……あいしてる……よ……」
陽人の荒い息遣いと、余裕のない熱っぽい声。
俺の中でますます硬く、質量を増したペニスが、余裕がないのを感じさせる。
「はる…と……あいしてる…………いっしょに……イこ……」
「うん……いっしょに……」
お互い握る手に力が入り、陽人の抽挿がますます激しくなる。
「あっ……イク…………」
俺が達したのと同時に、陽人の熱い精が中で弾けた。
「男同士だから結婚は、無理だと思っていた……でも、いつか……『有働柚希』になってほしい……」
「うん……」
手と手を絡める。
お互いの左指には、薄暗い中でも光り輝く、銀色の輪がつけられていた。
陽人が小さな頃からお小遣いやお年玉を貯めていたお金で、俺にプレゼントしてくれた。
まだ、学生だから安物のペアリングだけど。
俺にとっては、世界で一番の宝物だ。
幼い頃、陽人にプロポーズされた日の事を想い出すーーー
あの頃は、男同士の俺達が一緒になる事なんて、想像もしていなかった。
人と人の繋がりは不思議だ。
柊に出会った事で、俺と陽人の運命は動き出した。
傷付いてボロボロになった。
怖い思いを沢山した。
悩んで苦しんで、藻掻き続けた。
その一方で、
当たり前のように与えられる愛を貰えず、
世の中には信じられないくらい、
辛い思いをしている人がいるって……
柊と出逢った事で、知る事が出来た。
平凡な毎日。
何も変わらない日常。
刺激のない日々。
だけど、
愛する人と一緒にいられるって事が、
こんなに幸せで、特別で、貴重な事だなんて。
何事もなく普通に暮らしていたら、きっと気付かなかった。
今、この時、一分一秒……
陽人との時間を、
大切に生きたい。
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