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2月9日月曜日

「……」 「でさぁ、」 「へえー」 「それでな……」   部活終わりのミーティング。  もうすぐある合宿の打ち合わせもそこそこに、雑談に花が咲いているいつも風景。むしろこちらがメインではないのかと思いたくなるほど、下らない話で盛り上がって……いつもその話の輪の中心に居る大介。のはず。  会話には加わっているし笑顔だけれど、相槌に徹していて気が入っていない。心ここに非ずな感じで。  他は誰も気付いていないけれど、榮だけはその様子を逐一読み取っていた。 「――マジで、ばっかだなあ」 「ハハハ!」 「……あ!」   急に大介が声を上げた。急なふりをして。 「オレ、用事思い出した! 忘れてた~~」 「岩っち、そうなの?」  一緒に居る3人は、徐に立ち上がった大介を見上げ、皆「何々?」と驚いている。  正面にいる榮は、大介の台詞が棒読みだった事にまた気付き、動向を黙ってみている。  細かい事を言えば、ミーティング始まってから大介の目線は何度も部室の時計を盗み見ていた。     「バイト?」 「いや、バイトじゃないけど……ちょっと用事が……」 「そうなんだ」  「明日は、ちゃんと最後までミーティング出るし! ごめん!!先帰るわ!」 「じゃあ!」  部員と最後に榮に片手を挙げ一瞥くれ、大介は挨拶のお返しも待たずに、制服の上着と鞄をひっつかんで、部室を飛び出していった。   部員は話の続きに戻り会話に盛り上がっていたが、榮は大介が消えた無機質な扉を暫く眺めた。

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