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2月15日日曜日
* * *
誰より早く寝たせいで、榮は夜中ふと目が覚めた。
時計は三時を回っていた。
暗闇で目を凝らし、辺りを見渡す。
布団が一つ空いている。
――大介の姿が、無い。
(トイレだろうか?)
寝ぼけた頭で思い巡らせたけれど、姿を現す気配もなくて。
10分、20分……どれくらい経ったのかわからない。気になりながら睡魔に引き寄せられかけた時、鍵の開く音が聞こえた。
(トイレは部屋の中にあるのに。何処から? 何処に?)
いつもはガサツな大介が、忍び足で音を立てずに歩いている。
寝ていたら気付かなかっただろう。現に誰も気づいてない。
榮は息を潜めた。
大介は、音を極力立てずに布団に潜り込んで、一瞬で動かなくなった。
声をかける間もなく。不思議に思いながら、榮も再び眠りに落ちた。
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