117 / 255

2月15日日曜日

 *  *  *   誰より早く寝たせいで、榮は夜中ふと目が覚めた。  時計は三時を回っていた。  暗闇で目を凝らし、辺りを見渡す。   布団が一つ空いている。   ――大介の姿が、無い。 (トイレだろうか?)  寝ぼけた頭で思い巡らせたけれど、姿を現す気配もなくて。 10分、20分……どれくらい経ったのかわからない。気になりながら睡魔に引き寄せられかけた時、鍵の開く音が聞こえた。 (トイレは部屋の中にあるのに。何処から? 何処に?)  いつもはガサツな大介が、忍び足で音を立てずに歩いている。  寝ていたら気付かなかっただろう。現に誰も気づいてない。  榮は息を潜めた。  大介は、音を極力立てずに布団に潜り込んで、一瞬で動かなくなった。  声をかける間もなく。不思議に思いながら、榮も再び眠りに落ちた。  

ともだちにシェアしよう!