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2月15日日曜日
――朝
榮たちが本当に目覚めた時、大介はまだ寝ていた。
「岩っちーー! 起きろー」
皆が代わる代わるちょっかいをかけている。
「榮~だめだあ。岩っち、殴っても蹴っても起きないよ」
「なんでだろうね」
「あ、岩っち昨日遅くに風呂行くって言ってたな」
「えー俺等と一緒に入ったじゃん。のぼせてどっかでふらふらしてたんじゃない? バカだなー」
「お腹空いたし、ご飯行こう。もう寝かせとこ。知らない」
榮は大成達に連れられ、何度も振り向きながら部屋を出た。
* * *
ご飯を食べ、館内散策したりと、かなりの時間が過ぎ、皆が部屋に戻ってきた時、大介の姿は無かった。
「あれ? 岩っちいないー」
「やっとご飯行ったんじゃない? 時間ぎりぎりだし。行き違いかな」
皆が部屋にもどってだらだら寛ぎ出した時、榮は腰を上げた。
(あ! 今、大ちゃんに会えば、皆がいないところで話ができる)
「僕大ちゃんに予定と”早くしろ”って言って来る」
「ありがとう~よろしく~榮~」
榮は部屋を飛び出した。逸る心を抑えて、大介の姿を追い朝食会場に辿り着いた。けれど、大介の姿は無かった。
「大ちゃん、何処に……」
通りかかったロビーで、その姿を漸く見つけた。
大介と、もう一人。スーツ姿の男性。
遠目で大介より先に目についた。
従業員以外で目にしない、存在が浮きまくっているスキー場でスーツ姿。
フロントで手続きを終え、お互い駆け寄り……何故だか解らないけれど、榮は咄嗟に目を逸らした。
でも一瞬見えた物が脳裏に焼き付いた。
大介のまた見たことない表情と、その大介の隣で笑っている相手の横顔。
(綺麗な横顔だな……)
榮はふと思ってしまい、全力で打ち消す。
もう、見てはいないけれど、魂が抜かれた様にそこから足が動けなかった。
「おっ、榮ーー!」
その場から動けずロビーの端で、玄関に背を向け立ち尽くしたままだった榮は、びくついた。
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