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4月8日水曜日
大介に頭グリグリされながら、榮は驚きで開いた口がふさがらなかった。
「えーーーー?!」
榮の絶叫に、廊下向こう側の生徒も振り返った。
「な、なんだ? なんでそんな驚くんだ??」
大介も聞いたことのない榮の大声に驚きびくついて、手をはなした。
(……最悪だ!!)
クラス分け表示、先生まで見ていなかった。
二年の終業式、聞かれたくないことを聞かれ、気まずいまま春休みを過ごした。
部活中も先生はつとめて優しく接してきたけれど、それさえも気まずくていたたまれなかった。
「なあ、榮……俺ちょっと思ってたんだけど。最近お前、先生に冷たくねぇ?」
「?! どどど、どこが?! そんな訳ないよ!」
(大ちゃん、バカな癖につまらない事に勘が良い……自分の事は鈍感な癖に!!)
大介の言葉に、榮は心底驚き動揺が隠せない。
大介が二の句を告げようとしたとき、予鈴のチャイムが鳴った。
「あ、じゃあな榮。困った事があったら、何でも言えよ。勉強以外」
大きな口をニカっと広げ、榮の誰より好きな笑顔で大介は去っていった。
足取り重く、榮は新しい教室へ向かう。
クラスの前で、うなだれていた頭を上げると、廊下の反対側から、杉崎がやってきた。
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