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6月4日木曜日 深夜
杉崎のペンが止まる。
あんなに、べったりひっついていた印象の二人。
自分が出会ってしまった新学期も、合宿の朝も遠野が泣いていた場所に大介の姿は無かった。
怒らせてしまった終業式の日も大介は居なかった。……遠野は独りで佇んでいた。
だけど、大介と遠野は今も喧嘩や仲違いしているそぶりはまるでない。
(友情関係が壊れた訳じゃない。写真の遠野が見せている大介への表情……)
当初の目的だった杉崎に対する遠野の様子の答えは何も出てはいないのに、年表が三年にさしかかって、杉崎は書くのを止めた。
* * *
眠れない。年表は丸めて捨てた。明日から進路相談が始まり、頑張らなければいけない。睡眠をとらなければ。
生徒に今まで言われた事が無かった言葉”嫌いだ”と遠野に言われた日は、ショックで寝込んだ。
今夜は、何故だか逆に眠れない。
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