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7月31日金曜日
「ナオヤさん」
大介の誕生日、紆余曲折あったけれど。
無理せず慣れるまで、さん付けでも呼び捨てでもどっちでも可、という結論に落ち着いた今日この頃。
真向かいに座っている大介に見つめられ、改めて呼び掛けられ、直弥はハッとする。
とある店の個室。
月末の仕事終わり、残業時間も見越して予約してくれていた大介に連れて来られた。
喋ると年相応、はしゃぐと年齢以下のあどけなさの残る大介。
だけど黙ってすましていれば、成長しきった姿態、精悍な容姿が浮き出て大人びて見えて。
18になったばかりだけれど、尋常じゃない位イケ過ぎてて(直弥スカウター)正直見惚れる。
殊更、今は薄暗いお洒落な飲食店。雰囲気に負けていない出で立ち。黙っていれば。
今日は大介も学校で補習だったけれど、クリスマス恐喝犯に間違えられた苦い思い出から、制服からちゃんと着替えて、私服で来ていた。
一緒に買いに行って頼まれ直弥が選んだ服。
自分の好みを身に纏ってくれているから、更に盛れてて格好良さの破壊力が爆発していて(あくまで直弥視点比)
「良い店だろ。俺も初めて来たんだけど」
大介の年相応の無邪気な笑顔に、我に返った。
「ナオヤさん、何飲む?」
「え? あぁ、烏龍茶」
「いや、そうじゃなくて。ビール? カクテル?」
「え?! 俺、酒は……知ってるだろ?」
止めてる訳はだれより知ってる筈の大介の口から飛び出した言葉に、直弥は驚いた。
「良いじゃん。もう。折角の祝いの日だし」
「ダイスケ……」
「……1年経ったから、解禁で。な?」
「乾杯!」
促されるままに直弥は、戸惑いながら”とりあえず生”を頼んだ。
大介はコーラで、お互いのグラスを合わせる。
そう、今日は大介と直弥が出会った日。
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