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8月19日水曜日 2年目
「お盆は補習有ったのか?」
「いや、休みだったけど」
「そうか。帰るって前もって言わなかった俺もミスったけど
朝早くから晩まで出掛けてて、俺が居るまで帰ってこなかった」
高校生が休みに出掛けただの、まだ言ってる蒼大だけれど。
大介が小学生の時に家を出てたまにしか会わない蒼大にとって、弟の成長に気持ちが追いついていないんだろうと感じ、杉崎はもうツッコむのはやめた。
「それこそ、親に聞かなかったのか?」
「勿論聞いたさ。『大介何処行った?』って。そしたら、『大きなお友達の所かしらね?』って」
「『大きなお友達』? なんだそれ?」
「解らない」
「それ以上聞かなかった。だってあれだぜ。義輝もよく知ってるだろ。俺のお袋」
「あぁ、蒼大ん家のおばさん……」
杉崎は昔お世話になった懐かしい姿を巡らせた。担任時代、大介の保護者面談で、お目にもかかっている。
(だれにも優しくて、寛容で、天真爛漫で、天然で、失礼ながらどっか抜けてる……あれ?)
「あの人に問いただしても、な」
「あぁ、そうだな」
「お前なら解ってくれるだろ。
俺は自分でも思うけど、結構親父の性格を引き継いでる。あの子は……大介は、中身お袋遺伝子大」
「あぁ、そうか。おばさん思い出した時、あれ? と思ったよ。確かに中身かなり大介だ」
”大きなお友達”
謎の言葉は、話題が変わったお互いの近況と、居酒屋の喧噪に掻き消された。
―アニキ初登場おしまい―
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