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8月30日日曜日 2年目
――翌朝
直弥はふと目覚めた。
自分がいつ眠ってしまったのか判らない。
昨夜は 気を失った という感覚に近かった。
窓の外は明るく、雨音は聞こえない。
時間が過ぎ、朝が来たことを理解した。
(長い夜だった)
どうか眠って欲しい、という直弥の願いは叶わず、大介は直弥が知る間、起きていた。
大介は夜行性の野生動物の様だった。
息を潜め、視覚と聴覚を研ぎ澄ませ、身体だけは横たわらせ。
直弥は大介の眠りを確認してから寝ようと思っていたのに、結局大介より先に眠ってしまった。
不甲斐なさに、掌を見つめる。
昨日、掴んでいた大介の衣服の端は、直弥の手をすり抜けていて、もう傍らに姿は無い。
気怠くまだ覚醒しない頭と身体を起こすと
「おはよう」
僅かな物音に駆けつけたのか、半開きの扉の向こうから、大介が姿をのぞかせた。
直弥は大介が作ってくれた朝食を食べた。
「美味い。ありがとう」
と直弥が伝えると、大介は昨日から続く強ばった表情を幾分緩め、嬉しそうに笑ってくれた。
その顔を見て、直弥の緊張の糸も少し解れた。
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