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9月20日日曜日 大介 2年目
眠りに落ちる前、杉崎は携帯の着信音で現実世界へ呼び戻された。
見ると、蒼大からのメッセージだった。
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義輝、お疲れ様。
連休で今日実家に帰ったら、大介は文化祭だとかで居なかった。
今まで待ったけど、大介まだ帰って来ない。
俺は明日から旅行だから、タイムオーバー。
また会えなかった。
文化祭ってそんな遅くまで学校の用事あるのか?
3年で受験前だし打ち上げで遊び歩かないだろうし。
義輝はもう帰ってるのか?
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杉崎は携帯を見て、また固まった。
(大介がまだ帰らない?)
杉崎は文化祭の片づけの後、教師としての雑務を終えてから帰って、疲れすぎたとはいえ、今もう布団の中だ。
杉崎の脳裏に、校庭での景色がフラッシュバックする。
”大きなお友達” の存在。
(どうしよう……言う……言わない……)
ただ、見かけた不確定な出来事。
蒼大に伝えるべきか否か。
何十周も二択がぐるぐるし悩んだけれど、杉崎は決め兼ねて、直感を通した。
自分の感情を優先して、目の前の大介を何も確かめもせずその場を立ち去った自分に、はっきりしない人の事をとやかく伝える資格は無い。
(すまん、蒼大)
杉崎は大介と一緒に居た人物の事は伝えず、当たり障りのない返事を書いて、過保護兄のメールに返信した。
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