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自覚-4
横山さんがヤバイ奴等とつるんでるって聞いてからしばらくした頃。
「湊?」
千石さんと湊が一緒にいるのをよく見るようになった。
「千石さんと何してんだ?」
「あ!先輩。先輩が入社したばかりの頃の話を聞いてたんですよ!」
「……」
何で千石さんに聞くんだよ?
聞きたければ俺に聞いてくればいいじゃん。
お前になら何でも話してやるよ。
「ブハッ」
「辻元顔に出すぎ!」
千石さんはそう言いながら笑い飛ばしていた。
むむっ。
顔に出すぎってなんだよ!
「せ、先輩落ち着いて下さいっね?」
いや。
ねっ言われても俺は落ち着いてるつーの。
「面白いモン見れたし俺は行くな」
「じゃあな。矢嶋、辻元」
そう言いながら千石さんは去って行った。
「…最近、千石さんと一緒にいること多いよな?なんで?」
「ぼくが1人でいると何故か千石さんが来るんですよ」
もしかして千石さん……。
あなたも矢嶋が好きなんですか?
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「千石さんもしかして矢嶋が好きなんですか?」
「……そうだって言ったら?」
「……」
「辻元。単刀直入に言う。矢嶋を俺のモノにするから」
「俺のモノって」
「決まってんだろう?俺の彼氏にすんだよ」
「矢嶋を好きでもないなら構わないよな?」
何故だかいいとは言えなかった。
湊を千石さんに渡したくなかった。
いや。
本能的にダメだと、危険だと、そう思ったんだ。
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