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千石と辻元-1
「なぁ、矢嶋」
「なんですか?」
最近。
何故か千石さんが話しかけてくる。
「今から昼か?なら、飯食いに行かないか?」
昼食も奢りで色んな所に食べに連れて行ってくれる。
「千石さん。毎回奢ってもらうとか悪いです」
「いいんだよ。俺がお前と飯食いたいんだから」
どういう下心があるかわからないけど。
「よう!矢嶋!」
「あ、葉山さん」
先輩共々お世話になった企画二部の人。
「なぁ、矢嶋ってさ男が好きだよな?」
「え?」
「悪い。俺もさ男の恋人いるから言いふらす気はない」
「じゃあ何で?」
「俺の気のせいじゃなきゃ矢嶋って辻元が好きだろう?」
何でわかったんだろう。
「可愛い奴だな。辻元が気に入るわけだ」
「辻元先輩はぼくをそういう対象と見てませんから」
「じゃあてっとり早く誰かと恋人のふりするとかは?」
「そしたらわかるじゃん?」
そうだけど。
でも、相手いないし。
「千石とかはどうだ?辻元も危機感持つだろう?」
「誰も知らないですから。ぼくがゲイだって」
「千石が適任だよ。ただ深入りすんな!痛い目に合うからな!」
痛い目にって。
葉山さんは一体何を知っているんだ?
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