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千石と辻元-3

「まさか矢嶋も同士だったとは」 千石はっと。 いたいた。 「千石ー」 「何だ?」 「お前んとこの可愛い後輩なんだけどな?」 「矢嶋がどうした?」 可愛い後輩で矢嶋が出てくるとは。 「その矢嶋がな、辻元が好きらしくてな?俺としては協力してやりたいんだよな」 「お人好しだな、お前は。……それより。クビの隠しとけよ!」 っクソ。 あの野郎。 帰ったら締める! 「仕方ねぇじゃん。レオ言っても聞かないし」 「あの兄貴に惚れられてるからなお前は」 俺の彼氏はこいつ、千石の兄貴。 付き合いはじめは散々こいつから罵声を浴びさせられた。 「で、どうすりゃあいいんだよ」 「とりあえず矢嶋と話して恋人のフリするかどうかを決めろ」 「で、恋人のフリすりゃあいいんだな?」 「おう。ただ会社の奴らにはバレないようにしろよ?」 こいつにそれができるかが心配。 「わかってるよ」 とりあえず見守ってやるか。 けれど。 千石がまさかあんなことを企んでいたとは思いもしなかった。

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