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第5話

 俺はいつものように金曜に泊まった時、なんとなく聞いてみた。 「どっか行かない? 絵画展とか」  マグリットの絵画展がちょうどやっていたからだ。お互い好きだと知っていたから。  今まで海涙の家ばかりで、2人で外に出かけたことはなかった。  断られるかと思ったけど、「いいよ」と言って海涙は笑った。  だけど、やっぱり2人で行くと、絵どころじゃなかった。  俺は元々一人で行くのが好きだし、一つずつじっくり絵を見たい。  海涙もそれは同じみたい。  途中でキスされて、それどころではなくなった。 「ちょっ、こんなとこで」 「誰も見てなかったよ」 「そういう問題じゃなくて」  そんなことされるとついうっかり勃ってしまいそうだ。 「出よう」 「え?」  やっぱり俺たちにはこういうの向いてない。  海涙を引っ張って、外に出る。 「絵見なくていいの?」 「やっぱ一人で見るもんだって思った」 「明徳が連れて来たんじゃん」 「ごめん。海涙と一緒がやなわけじゃなくて」  俺はすぐ感じちゃうから、無理なんだ。 「近くにラブホ街があるんだ」  言わずと知れた有名なとこだ。 「明徳詳しいね。誰かと来たの?」 「あるわけないじゃん」  そもそも海涙とやったのがはじめてなのだから。 「そういう海涙こそ、行ったことあるんじゃない?」 「ないよ」 「嘘」  信じられなかった。 「だって女の家でしかしてない」 「何それ」 「うちに入れたのだって明徳が初めてなんだよ」  そんなの知らない。聞いてない。

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