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弟の悲しみ7
***
バレー部の部室に到着し、扉にしっかり鍵をかけてから、中央に設置してある長椅子に、辰之の躰を静かに置いた。
「辰之つらかったろ、大丈夫か?」
顔を覗き込んで話しかけると、瞳を細めながら首を横に振る。
「兄貴が駆けつけてくれたから、平気…だよ」
辰之の顔を覗き込んだのに、なぜだか視線が絡まなかった。どこかぼんやりとしたまま、荒い呼吸を繰り返す。
「バイブのスイッチは切った。もう振動しないはずだ」
「兄貴が切ってくれたの?」
「ああ、若林先輩が渡してくれた。おまえがオフしてやれって」
スラックスのポケットから電源を取り出し、辰之に見せてあげた。
「あのさ、兄貴……」
「わかってる。俺がバイブを取ってやるよ」
「わかってない。それじゃダメなんだ」
辰之は俺の左手首を掴み、下半身に導いて硬くなったモノにぎゅっと押しつけた。
「僕は前だけじゃイケない躰になってる。バイブで振動させないと、コレはおさまらないんだよ」
「おさまらないって、そんな――」
「兄貴が好きすぎて大きいのがほしくて、エッチな躰になっちゃった」
下半身を押しつけられた左手を慌ててパーにして、接触しないようにほどこした。それなのに辰之は腰をあげて上下に動かし、てのひらに擦りつける。
「とにかくバイブをそのままにするのは、絶対躰に良くない! おまえが反対しても取るからな!」
掴まれた左手首を強引に振りほどき、辰之のスラックスのベルトを外して下着ごと一気に脱がせた。
「んっ!」
電気をつけていない薄暗い部室の中に晒される、カタチの変わった辰之の下半身にギョッとしつつも、いつでもイケるようにと箱ティッシュを傍に準備する。バイブを取り出すときに指を突っ込む刺激で、達するかもしれないと思ったから。
「辰之、恥ずかしいかもしれないが、うつ伏せになって尻を突き出せ」
「兄貴、やっぱりバイブを振動させて。このままじゃつらいよ」
「駄目だ、俺の言うことを聞けって!」
「でも……」
「俺が辰之をイカせてやる」
その言葉で辰之は素直に、指定した格好になってくれたので、意を決して右手人差し指を尻穴に突っ込んでみる。指先がなにかの突起に触れたで、それを使って引き出そうと試みた。
「ぁあっ…お、奥にいっちゃう」
「悪い。ちょっとだけ押し込んだ」
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