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兄貴の悦び16

 兄貴の大きな手が、僕の後頭部目掛けてアタックした。しかも照れが加わっているため、かなりの激痛を伴うものだった。だがこんなことで負けてはいられない。僕だって男なんだ! 「当たり前でしょ。兄貴の頭をおかしくして、僕の誘いにのってもらわなきゃだし」 「おまえはヤることしか頭にないのか!?」 「しょうがないだろ。兄貴のち〇ぽじゃなきゃ奥の奥に届かなくて、オナニーしても気持ちよくないんだよ。そのせいで勉強に集中できない!」 「は? 勉強?」 「兄貴がバレー部の部室で僕を抱き潰したりするから、あの日のことが頭から離れなくて困ってるんだからね」 「ぉ、俺のせいにするなよ……」  不機嫌で尖っていた兄貴の唇が、瞬く間に引っ込む。しかも文句を言ったのにぬるい口調のお蔭で隙ができた。 「ここでキスしてくれたら、兄貴のせいにしない」  容赦のない口撃を続ける。押せるときは徹底的に押しまくる主義だからこそ、手段なんて選んでいられない! イチャイチャできるなら、どんな理由をつけてもやってもらうもんね。 「なんだよ、それ」  たじたじしまくりの兄貴の様子から、あと少しで落とせると踏んだ。ここは焦らし作戦を展開して、僕の誘いから逃げられないようにしてあげよう。 「箱崎がここでできたこと、兄貴はできないん――」  唐突に塞がれる唇の柔らかさと熱に、どうにかなりそうだった。兄貴の広い背中に両腕をまわして、縋り付くのが精一杯。 「んうっ…ぁあん」 (くそっ、『箱崎がここでできたこと、兄貴はできないんだ。いくじなし!』って言ったあとなら、兄貴のキスはもっともっとエロくなるはずだったのになぁ)  ただの触れるだけのキスだというのに、痛いくらいにち〇ぽが反り勃つ。兄貴の口内に舌を侵入させたいのに、きっちり歯を閉じてるところがクソ真面目というべきか――。 「兄貴の意地悪……」  先に降参したのは僕。物足りないキスを続けられたせいで、自分から外してしまった。

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