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特別番外編【Voice17】

 付き合うことになって二週間後にはキスを許してしまい、そこからが早かった。だって俺が手を出さなきゃ、若林先輩にヤられる可能性が大いにある。  最初は気持ち悪さしか感じてなかったのに、『箱崎好き』『誰よりも愛してる』なんていう、照れ屋の俺が絶対に言わないであろう告白口撃の連続を受け続けているうちに、いつしか若林先輩を好きなのかもしれないと、脳が誤作動をおこした。  それをなんとかしなければと考えれば考えるほどに、目には見えないけれど、はっきりと見えてくるものがあった。  黒瀬の前では猫を被っている俺。だけど若林先輩の前では、ありのままの自分をさらけ出すことができた。偽らない俺を好きと言ってくれる若林先輩の前だから、嫌われる前提じゃない分だけ、楽に過ごせるんだと思う。  若林先輩相手にときどき口悪く罵ったり、傍若無人に振る舞ったりするのに、全部許されてしまうことに、いつの間にか居心地の良さを覚えた(もしかしてこれって、俺が若林先輩にSとして調教されたということだろうか!?)  そしてここのところ貴重な休み時間と言える昼休みは、バレー部の部室に連れ込まれ、卑猥なスキンシップに励む若林先輩に、四苦八苦する俺の姿が日常化していた。  誰も来ないことをいいことに、限度を超えたスキンシップをしようとする。しかも適度に上手いときたもんだから、対処に困り果てるしかなかったのである。 「アキラ先輩っ…あと五分しかないのに、そんなにしないでくださぃっ!」 「んっんっ、五分もあったら、俺なら二回イケるのにな」  キスで入念に責められた俺は、若林先輩の行為で勃つようになった。好きになりかけているからか、残念なことに躰が反応してしまう。そこを重点的に狙われるわけで――。 「敏感なところばかり、くぅっ…もっやめてくれよ」  全部を咥えられなくても、感じさせるテクニックを若林先輩が持ってるせいで、散々翻弄させられる。舌先を器用に使って尿道をぐりぐり責めるなんて、マジで勘弁してほしい! 「あっ、あっぁ……、ンンっ…うっ」 「くそっ、タイムアップか。今日もイカせられなかった」  予鈴が部室に鳴り響いたお蔭で、若林先輩の責めから無事に解放された。痛いくらいに張り詰めているが、こればっかりは致し方ない。

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