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特別番外編【Voice19】
(中央にあるベンチじゃ、無駄にガタイのいい若林先輩の躰じゃ、行為の最中に落ちるだろうから、危なくて置けない。華奢な黒瀬なら余裕なのに)
体育館の物置よりはまだマシと思える、適度に汚れていない床に、若林先輩を組み敷いた。目についた太い首筋に舌を這わせながら、ブレザーのボタンを外し、ワイシャツのボタンも手際よく外していく。
「はこざ…きぃっ、あぁっ…」
ワイシャツの裾をスラックスから引きずり出して、部活で鍛えられた上半身をあらわにした。胸の突起を潰す感じでぎゅっと抓りつつ、首筋の根元に強く噛みついた。
「いいぃっ!」
抱きしめた躰が、快感で何度もビクつく。まるでまな板の上に置かれた、活きのいい魚のようだった。
「あっああっ、あうっ…」
しつこく吸いながら、皮膚に歯を立ててかぶりつく。そのうち、口の中に鉄の味をほのかに感じた。
「痛いぃ、じんじんする……」
「噛まれるのと抓られるの、どっちが気持ちいいんですか? 前よりも感度上がってますよね」
両手で乳首を強く抓ると、若林先輩の太い眉がへの字になり、小さな両目から涙が溢れた。
以前ならそんな姿を見たら、憐れだの気持ち悪いという言葉が出てきたのに、今じゃ胸がドキドキした。見ているだけで、普段隠している加虐心に火がつく。
「は、箱崎ぃ、もっと…もっとシテくれ」
「なにをしてほしいんですか。具体的に言ってもらわないと、俺はわかりません」
「おっ…おまえの手で痛くしてほしい」
「泣くくらいに痛みを感じてるくせに、もっとシテほしいとは」
唇をひん曲げた笑みを唇に湛えながら立ち上がり、上靴を履いたまま、若林先輩の下半身を踏みつけてやった。
「あ゛あぁあ゛っ!」
「色気のない酷い声。もっと可愛い声で啼いてもらわないと、まんま興醒めですよ」
ほんの少しだけ足に体重をかけながら、ぐりぐり動かしてみた。
「いあっ! はあっ、あ……ンンっ」
今ので確実に達しているであろうブツを容赦なく蹴りあげてから、若林先輩に跨り、顔を寄せた。頬を濡らす涙に唇を押しつける。傍にある瞳が誘うようにゆらゆら揺らめいて、俺の顔を凝視した。
「ひゃひゃこざき…早くほひい」
(汚い床に転がされて、首を噛まれたり乳首を抓られた挙句に、股間を蹴りあげられて痛そうに呻くズタボロなこの人が、なぜだかすごく愛おしい。可愛く見えるなんて変だ。アソコが痛いくらいに張り詰め続ける)
「若林先輩、なにがほしいか、ちゃんと言わないとあげません」
「ぃ、意地悪言わないで…くれよぉ」
「そんな意地悪もお好きでしょう?」
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