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(10) 恋人

そのやり取りの後の二人の交わりはいつもと違っていた。 いく歳を費やし、結ばれる二人。 いや、アラタにとっては数日間の記憶。 だがしかし、時空を超えた愛が確かに実ろうとしていた。 ミノリの体は、ユウキの体。 ユウキの体は、ミノリの体。 ミノリの体を滑るようにアラタの指が這う。 乳首の先端はアラタの舌の愛撫によってピンと立つ。 「あっ……ああ、アラタさん。とても感じます」 「とっても綺麗だよ、ミノリ」 アラタの指はミノリの秘部へ。 ミノリは初めて男に身を委ねた時のように、敏感に体を反応させた。 アラタはおっきく固いものをそこに当てると、ずっ、ずっ、っと押し込めていく。 「はぁああっ……」 ミノリは、声を上げた。 シーツを逆手持ち、ギュッと絞りこむ。 アラタは、ミノリの唇に唇を合わせると、下唇を甘噛みした。 「奥まで挿れるよ……」 ミノリはコクリと頷いた。 アラタのペニスは、ミノリの中へミシミシと吸い込まれていく。 「はぁああん、すごい……」 ミノリの体は、弓のように反り返ったかと思うと、鞭うつようにしなやかに弾けた。 それをアラタは優しく抱き寄せた。 「はぁ、はぁ、すごい。アラタさん。感じる……」 「ミノリ、気持ちいいよ。お前の体は最高だ……」 やがて、二人は快楽の園へと導かれて行った。 アラタは果てた後、心の中で呟いた。 「ユウキ、とても気持ちよかったよ」 「そうでしょ? 僕、おじさんが喜んでくれるように一生懸命頑張ったから!」 アラタの脳裏には、ピースサインをしているユウキの笑顔が映っていた。 アラタは、ありがとう、を繰り返し、微笑みながら涙を流した。 二人、ベッドの上で手を繋いで天井を見上げた。 ミノリは、今更ながらに顔を手で覆い隠して言った。 「アラタさん、すみません。オレの勝手な想いを押し付けて……」 「バーカ。何を謝るんだ」 「だって……」 アラタにしても、ミノリの気持ちを分からないでもない。 いわば、同情で約束した子供の時の約束。 それを立てにとって、付き合うのを迫っているのだ。 しかし、ミノリは分かっていない。 アラタも本気でミノリを愛している。 これは、紛れもない事実。 アラタはわざとらしく、指をパチンと鳴らした。 「そっか! 今分かったよ。俺は、今まで沢山の男達を抱いて来た。しかし、どんないい男でも恋人にしようとはつゆとも思わなかったぜ。それはきっとこうなる事が分かっていたからかもな」 「でも……」 「まぁいいんじゃないか? 俺はお前を抱くのが好きだからよ。ほら、こうして何だかんだでお前の体が恋しくなるんだ。この柔らかいケツとかな」 「う、うううっ。嬉しいっす。アラタさん」 泣き崩れるミノリ。 アラタは、 「バカ、泣くとケツ揉んでやらないぞ?」 と、大袈裟にミノリのお尻を揉みまくってみせた。 しばらくミノリは泣いていた。 アラタはふと気が付いた。 ユウキと同じ泣き方だって事を。 アラタは、そうだよな、と懐かしさを噛み締めながら、かつてアラタがユウキにそうしたように、ミノリの頭を優しく抱きかかえてやった。 そして、ミノリが落ち着きを取り戻すと、アラタは明るい声で言った。 「さぁ、泣くのは終わりだ。今度は、騎乗位で頼む。いいだろ?」 「あはは、相変わらず好きっすね。アラタさん。騎乗位」 ミノリは、涙を拭きながら笑って答えた。 「そうだな。ユウキに感化されたかな? あいつ、すぐに俺の上に乗っかってきたからな」 「そうっすね! オレもあれ以来、騎乗位の体勢でオナってましたから。指を挿れながら、アラタさんに模した抱き枕を跨いで」 ミノリは、くいっ、くいっと腰を振ってアナニーを実演して見せた。 あれ以来って、嘘だろ? とアラタは驚いて尋ねた。 「マジか?」 「マジです!」 「そっか、この淫乱め! さあ、はやく一発やらせろよ!」 「いいっすよ、一発でも二発でも、オレ、ビッチなんで、いくらでも平気っす。それに、一生分有りますから」 「そうだな、俺達、もうパートナーだもんな!」 「はい!」 「じゃあ、手っ取り早く10発で!」 「そんなにいけますか? アラタさん?」 ミノリは、ジトっとした目でアラタを見つめた。 その圧に負けてアラタは弱音を吐いた。 「……すまない、ちょっと自信無くなってきた。5発、いや4発で」 「マジレスしないでくださいよ! アラタさん! ぷはははは!」 ミノリは盛大に吹き出して大笑いをした。 アラタもつられて笑いだす。 「あはははは!」 アラタの目には、ミノリの笑顔にユウキの笑顔が重なって映っていた。 アラタは、心の中で二人に語り掛ける。 二人とも、これからは、何も心配は要らないし、迷わなくていい。 何故なら、お前の居場所はこれからずっとここなのだから、と……。 ※「俺xビッチ、ときどきショタ」 終わり

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