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橋渡し係。

 母さんと翔さんが再婚して、俺の何もかもが一変した。  まずは姓。  玉木 楓から、椎名 楓になった。  それから家は、アパート暮らしから翔さんと律さんが住む一軒家に移った。  翔さんが俺の父さんになって、アルバイトもしなくて良くなった。  それでもって、これが最悪なんだけど、律さんからのラブレターを俺が渡す係になった。  学校では俺が律さんと義理の兄弟になったことを知られて、告白の橋渡しをされることが多くなったんだ。  俺だってさ。  律さんのことが好きなのに……。  なんで恋敵の応援しなきゃいけないわけ?  ほんと最悪。  で、今俺は何をしているのかというと。  一足先に学校から帰宅して、キッチンで夕飯を作ってる。  こうやってアルバイトをしなくていいようになってからは、母さんが仕事でいない日はもっぱら俺が料理担当。  今日はオムライスだ。  よし、野菜も焦がさずに炒められたしお米もネチネチしてない。  卵も我ながら上手く巻けたと思う。  ここだけのはなし。実は、オムライスは律さんが好きな食べ物だったりする。  オムライスだけじゃない。  春巻きも好きだし、魚料理全般も好きらしい。  同居するようになって律さんの好物がわかってきた。  律さんは気づいてないと思うけど、実は俺。律さんの弁当にだけ、こっそり律さんの好物を何かしら毎回入れてるんだ。  えへへ。  律さん、喜んでくれるといいな。  美味しいって思ってくれてるといいな。  ……結婚って、さ。  こんなふうな感じなのかな?  ――なんて思ったり。

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