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プロローグ
飯を作っていた。家にいたころは料理なんてまったくもってしなかったけど、寮に入って初めてみた料理はそこそこ楽しかった。毎日するわけではないけど、簡単なものは日常的に、こんな来客がある日は、リクエストに合わせて、少し凝ったものにも挑戦する。
目の前で作られているのは特性デミグラスソースの煮込みハンバーグだ。
味見をしてできた味はパーフェクトで満足していると、チャイムが鳴った。
その音で俺が玄関に出ると、中性的な男が一人。
「こ、こんばんわ。二年の右野 健です」
右野は視線をさまよわせてどこか挙動不審だ。
「健くん? ようこそ」
俺はその緊張をとこうとにっこり笑って招き入れた。
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