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1 使用人の来襲
「おはようございます」
朝、寮の前で児玉が話しかけてきた。優等生の鏡のような髪と着こなしだ。短めの短髪は幼いけどきりりとした顔に似合ってる。うなじの借り上げはなんとも色っぽい。彼は学ランのほうがきっと似合っただろう。
「おはよ。児玉君は今日もかわいいね」
そう言うときっとにらまれた。
「昨日は、生徒が一人いったはずですが」
「あぁ、きたよ。かわいかった」
右野君はご飯を食べて、少しの談笑もずっと緊張していたけど、ベッドにあがると言い脱ぎっぷりで、身体もきれいな筋肉だった。はやりの細マッチョはテニスでつくったそうだ。
「感想はいいです。昨日の生徒で、志望の子は最後です」
「知ってる。今年も入るかな。どうしよっか」
「僕としては、こんな変態じみたこと、やめてほしいですが」
「嵐よりましだろ? ギブアンドテイクじゃん。おれは百山みたいなアウトドアなパーティーピーポーでもないし、鍬ヶ谷みたいな趣味も硬派な性格でもない。だからって高森みたいにあしらうこともできないし」
「そういって、さも自分は悪くない風に遊ぶ、会長が一番、だめだと思いますよ」
「それはわかる」
肩を上げて笑って見せると児玉はすごくわかりやすく顔を曇らせた。彼はそういう意味で俺を好きではないらしい。
「わかるけど、さ」
この学校は山の上にある男子校で、同性どうしの性の乱れが激しい。中高、男ばっかりで、はけ口がないし、そういう気風だからと開き直ってみると、みんなが共犯みたいなもんで。性欲盛んな男なんて穴があればそれでいいようだ。
見目麗しく学園の権力者の生徒会会長様にはファンが多い。親衛隊なんてものがあり、その中で抱かれたい男たちが俺の部屋を訪ねる。親衛隊が大奥にならないように、一人一回がきまりだ。性に関する倫理観はもともと薄い方だったけど、この学校に来て崩壊した。
学校の校門近くで昨日の右野君を見かけた。目が合うだけで顔が赤くなるのがわかる。
別にいいじゃないか。一回きり、あいての希望にあわせてサービスしてとびっきりの甘やかして寝てあげる。お互いあとくされもなく、楽しい時間を過ごす。それの何が悪いのか。
横で微妙な顔をする親衛隊隊長はわりと真剣な彼氏がいるので、俺のこういうただれたところは嫌なんだろう。
もう今の親衛隊には、その一回を使った奴か、希望しない奴だけだから、次に来てもらうのは一年になる。児玉はキリがいいし、やめてほしいみたいだけど、それってひいきになるしな。
「かわいい一年はいるかな」
俺は右手が恋人でも、かまわないし、どうしてもやりたいというわけではない。でも、誰かを隣にして寝るのは好きだ。人を甘やかすのも好きだった。背中をあずけられて、髪の毛をかわかしたいし、爪をきりたい。けど悪いからとい行って、そこまでさせてくれる人はなかなかあらわれない。児玉にはこのことを話すと「きもいし、イメージくずれるから、だめです。会長はSなんです」とのことだ。おれが仮にエスならそれはサービスのエスでサーバントのエスだろう。
「甘やかされるの大好きな、お嬢様が多いんじゃないのかこの学校は」
なんてひとりごちて、学校に向かった。
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