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第三章・最終話
稀一の体液が、濁流になって蒼生を攻めた。
「あぁあ! あ、あ、あぁんんッ!」
「最高だよ、蒼生。最高……」
繋がったまま蒼生をかき抱き、キスの雨を降らせた。
「あぁ、はぁ、はぁ、あぁああ……」
「な、赤ちゃんできるかな」
「え……?」
「今度妊娠したら、やっぱり真っ先に俺に教えてくれ」
「稀一さん」
「いい父親になれるよう、努力するよ」
「……稀一さんッ!」
今度は蒼生が、稀一にキスの雨を降らせた。
最低で最高な男、稀一さん。
僕は、この人が大好き。
体内の稀一は、まだ張りを保ったままだ。
「もう一回、いい?」
蒼生は、笑ってうなずいた。
月明かりの下、二人は何度でも愛し合った。
これを機に、稀一は就活を始めた。
父の、母の経営する会社になら、何の苦労もなく入社できるだろうに、一般企業に履歴書を送り、面接を受けた。
「稀一さん、どうして急に就活なんか始めたの?」
「蒼生の住む世界に、少しでも近づきたいからさ」
それより、と稀一は蒼生に社の案内パンフを数枚よこした。
「どの会社がいいと思う?」
内定率100%。
驚異の就活生・稀一に蒼生は溜息をついた。
やっぱり稀一さん、僕とは住んでる世界が違う。
それでも僕は一生懸命稀一さんに付いていくし、稀一さんは僕を解ろうと努力してくれている。
「これ。この会社がいいな。僕も、この会社受けてみるよ」
「二人で同じ会社に入るのか?」
「うん。そして、オフィスラブしよう♡」
「それは名案だ」
二人、額を合わせて笑った。
二人の世界の交わるところ。
その小さな場所に、巣作りを始めた。
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