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第四章・18話

 どうしよう。  頭、ぼ~っとしちゃってる。  キス、久しぶり。  何だか初めての時みたいに、ドキドキする。  そっと唇を離した雄翔の目は、都の言葉を待っているかのようだった。 「あ、あの」 「ん?」 「今夜、弟たち帰らないんだ。お爺ちゃんの家に、泊るからって」  花火大会は夜にあるので、中学生がうろつけば補導されてしまう。  そうならないように、祖父母が保護者役を買って出てくれた。  花火が終われば、そのまま車で弟たちは田舎へ行く。  大好きなお爺ちゃんお婆ちゃんと、三日間ほど過ごすことになっているのだ。 「今夜、誰もいないから。だから」 「……」  無言の雄翔に、喋りながら都は後悔していた。 (こんなあからさまな誘惑なんかに、雄翔は乗らないよね) 「泊っても、いいの?」 「えッ!?」 「俺、都の家に泊っても、いい?」  どうしよう。  雄翔、泊るって言ってるよ!? 「狭いし、汚いよ!? いいの!?」 「都が、許してくれるなら」  都はもう、頭がぼうっとしてくらくらしていた。 「どうぞ……」 「ありがとう」  花火の後片付けをしながら、都はようやく我に返っていた。 (泊る、っていったらアレだよね。エッチするってことだよね)  出来るかな、僕に。  雄翔を愛してあげること、できるのかな。 「僕の体……」  発情が間近だと感じていた都の体は、売春をするようになってからすっかり静まり返ってしまった。  火照ることも無い、感じることも無い。 「僕、不感症になっちゃったのに」  雄翔のための部屋着をぎゅっと抱きしめ、都は不安に駆られていた。

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