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希少タイプ?

 その上、ヴァンパイアの性別は男だった。アスカの占いに予約を入れるのは殆どが女で、珍しいとは思っていたが、まさかヴァンパイアが来るとは思わなかった。驚きを通り越して、恐怖を感じた。  アスカは占いにはイメージも大切だと思っている。黒いハイネックのロングドレスの上に、たっぷりした黒いフード付きのマントを羽織り、魔女の雰囲気を醸していた。それが役に立った。占い用にしつらえた薄暗い小部屋の中で、丸テーブルを挟んで向き合うヴァンパイアを、フードの陰からそっと盗み見ることが出来た。  概してヴァンパイアは余り感情を表に出さない。元は人間であったことから、人間外種の中でも希少タイプと言われているが、人間らしい声音には女を酔わせる深みがあると聞く。その甘美な囁きで女をたぶらかし、血を頂く。しかし、アスカにとって、その点では安心していられた。  アスカは男だ。魔女をイメージして女装していても、十八歳の健全な青年だった。

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