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何をしに?

 女を迷わして来ただけあって、美男揃いと評判のヴァンパイアだが、男は最高の部類に入ると、アスカは思う。男の肌は東洋人の色合いを含んでいるが、ヴァンパイアらしく白蝋気味だった。漆黒の髪は耳に触れる程度で、額に掛かる一房がなんとも粋に見える。瞳は東洋系ヴァンパイアに共通する銀白色を帯びた錫色だった。口さがない者達に死者の瞳と呼ばれ、より辛辣に、腐った魚の目と言う者もいる。  兎にも角にも、ヴァンパイアは人間にモテモテだった。アスカのように、人間外種に登録変更をした元人間種に用はない。  モンスター達は『人間外種登録変更制度』を利用した人間を、疎ましがっている。特に、ヴァンパイアの嫌い方は群を抜く。その恐ろしさも有名だった。沈黙はなおもって恐ろしい。間抜けと思われようが、アスカは話の切っ掛けが欲しかった。 「それで……占い、する?」  同じ問い掛けを繰り返したのは、何をしに来たのか、直接には聞けないからだった。

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