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騙された?

 アスカはフードの奥から精霊達の意識を探った。実体を持たない彼らだが、小部屋の片隅で息を凝らして成り行きを見守っていることには気付いていた。内々のネットワークを広げ、皆でワクワクしていると言った方がいいかもしれない。 「クソっ、まんまと騙された……」  アスカは悔しげに呟いた。噂好きの彼らがモンスター達の血の系譜を封印した。苦渋の決断だったのだろう。それに代わる楽しみを求めている。彼らは気紛れに拗ねていたのではない。期待していたのだ。霊媒とヴァンパイアという敵対する者同士の噂くらいワクワクするものはない。  子供の頃、死者の声に震えていた時、アスカは聖霊達に救われた。彼らが死者の声に割り込んでくれたことで、遮断する方法を身に付けられた。人との付き合いに苦労したアスカの友達にもなってくれた。その恩を忘れていないが、好きにされていいことにはならない。友達なら尚更だ。しかし、聖霊達には新鮮な噂が必要だった。

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